中国が富士電機社員2人を正式逮捕 レアアース磁石巡る密輸容疑で日中関係にも波紋

Two large glass jars with silver lids on a dark display, one containing blue liquid and the other orange, with a Chinese information card in front.

中国当局は、日本の重電大手・富士電機の日本人社員2人を「国家が輸出入を禁止する貨物の密輸罪」の容疑で正式に逮捕した。事件は中国が輸出規制を強化しているレアアース磁石を巡るもので、中国外交部は2026年7月1日、「案件は法に基づき処理中」と説明するとともに、日中関係が深刻な困難に直面している責任は日本側にあるとの認識を示した。

富士電機社員2人を正式逮捕

日本メディアや香港メディアなどによると、2人は2026年5月18日2026年5月25日に遼寧省大連市で中国税関当局に拘束され、その後、2026年6月中旬から下旬に正式逮捕された。1人は富士電機の中国現地法人幹部、もう1人は中国へ出張していた社員という。

中国側は、2人が輸出規制対象となっているレアアース磁石を取り外し可能な状態でモーターなどの製品に組み込み、日本へ輸出した後、国外で磁石を取り外して回収することで、中国の輸出規制を回避しようとした疑いがあるとみている。

業界関係者によると、磁石が製品へ恒久的に組み込まれ、取り外せない状態であれば輸出規制の対象外となる一方、容易に取り外せる構造であれば法令違反と判断される可能性があるという。

中国外交部「案件は法に基づき処理中」

中国外交部の郭嘉昆報道官は2026年7月1日の定例記者会見で、「案件は現在、法に基づいて処理中である」と説明した。

その上で、中国の主管部門は法に基づいて違法・犯罪行為を取り締まっているとし、日本政府に対し、中国に滞在する日本人や日系企業へ中国の法律・法規を順守するよう教育・注意喚起することを求めた。

また、日本メディアから「中国側の対応は日中経済・貿易関係を重視していない印象を与えている」との質問を受けたことについては、「その印象は正しくない」と反論し、日中経済関係に関する質問は主管部門へ問い合わせるよう求めた。

日中関係悪化の責任は「日本側」

郭報道官は、「現在、日中関係は深刻な困難に直面しており、その根本原因は日本政府が台湾問題や軍事・安全保障分野で一連の誤った言動を取っていることにある。責任は完全に日本側にある」と主張した。

さらに、日本側に対し、中国の核心的利益を尊重し、中国の内政への干渉をやめることや、日中間の4つの政治文書の精神を順守することを求めた。

また、中国商務部による日本向け輸出規制については、「完全に正当、合理的かつ合法な措置」であり、日本の「新軍国主義」的な動きを抑止することが目的だと説明した。その対象は一部の日本企業と軍民両用品目に限られ、通常の日中貿易には影響しないと強調し、法令を順守する日本企業は心配する必要はないとの見解を示した。

中国専門家「情報戦の可能性」

一方、日本の中国問題専門家からは、事件公表の時期に関する見方も示された。

日本のメディアによると、神田外語大学の興梠一郎教授は、中国政府が容疑のみを公表し、具体的な事実関係を説明していない点について、「この問題を巡る議論そのものが情報戦である可能性がある」と指摘した。

また、2026年5月の拘束から約1か月後に事件が公表されたことについて、「当初から適切な時期に公表し、2人を事実上の人質として利用する意図があった可能性がある」との見方を示した。

中国の司法手続きでは、拘束後37日以内に正式逮捕するかどうかが決定される。正式逮捕後は起訴の可否が審査され、その間は最長7か月間拘束される可能性がある。

出典

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