
中国政府は22日、乳幼児用紙おむつから有害物質ホルムアミド(甲酰胺)が検出されたとする報道を巡り、国家市場監督管理総局、工業情報省、国家衛生健康委員会、国家疾病予防管理局による合同調査チームを設置した。調査結果は現時点で公表されておらず、当局は事実関係の確認を進めている。
中国紙おむつのホルムアミド検出報道が発端
発端となったのは、新華社系の経済紙「経済参考報」が6月18日に掲載した調査報道である。同紙は、好奇(Huggies)、Babycare、碧芭宝貝(Beaba Baby)など複数の乳幼児用紙おむつからホルムアミドが検出されたと報じた。
記事では、一部乳幼児において、おむつかぶれや皮膚のただれが繰り返し発生し、製品の使用を中止すると症状が改善したと伝えた。また、山東省公共衛生臨床センター質量分析研究・臨床応用センターによる研究として、100件以上の乳幼児の血液や尿サンプルからホルムアミドが検出されたと紹介した。
さらに、同センターの特別招聘主任である于兆衍氏の発言として、ホルムアミドは人体内で自然発生しない外来性物質であり、長期的な微量摂取は肝臓や腎臓、生殖器系への悪影響を及ぼす可能性があると報じた。
山東省の研究機関は検査と取材を否定
しかし、報道直後の6月19日、山東省公共衛生臨床センターと于氏はそれぞれ声明を発表し、記事で言及された検査を実施した事実や、「経済参考報」の取材を受けた事実を否定した。
同日、中国製紙学会衛生用品専門委員会も声明を発表し、検出値や検査基準、検査方法などの重要情報が開示されていないとして、報道内容に疑問を呈した。
これに対し、記事を執筆した記者の王文志氏は音声記録を公開し、于氏との間で事前に十分な意思疎通があったと主張した。また、否定声明は上層部からの圧力によって出されたものだと反論した。さらに21日には公開書簡を発表し、「データ捏造」や「利益目的の報道」といった批判を否定するとともに、国家レベルの第三者調査を求めた。
Babycareなど3社は「不検出」と発表
報道の対象となったBabycare、好奇(Huggies)、碧芭宝貝の3社は21日までに相次いで第三者機関による再検査結果を公表した。
Babycareは販売中の全製品について欧州REACH規則および中国のSN/T 3587-2016基準による検査を実施し、ホルムアミドは検出されなかったと発表した。好奇も全シリーズ製品の再検査結果で不検出を確認したとし、当局による抜き取り検査にも協力していると説明した。
碧芭宝貝も主力製品および原材料の検査結果を公表し、いずれもホルムアミドは検出されなかったとしている。各社は政府による独立調査を支持するとともに、検査サンプルの選定や検査方法の妥当性について疑問を呈している。
当局が検査データとサンプル経路を調査
報道側、引用元機関、メーカー側の主張が食い違う中、中国当局は合同調査チームを設置し、検査方法や検査データ、サンプルの入手経路などを含めた調査に乗り出した。
今回の問題を巡っては、報道内容の信頼性と製品の安全性を巡る議論が続いており、当局による調査結果が注目されている。
