第28回上海国際映画祭が開幕も日本映画は不在 日中関係悪化が背景か

上海国際映画祭が開幕するも日本映画の上映は見送り

第28回上海国際映画祭が6月12日、上海で幕を開けた。世界77の国と地域から420本超の作品が集まり、上海の47の映画館および長江デルタ地域の5都市にある5つの映画館など、合わせて50以上の映画館で1600回を超える上映が予定されている。会場は例年通りの賑わいを見せているが、上映ラインナップから日本映画がほぼ姿を消した。

複数のメディアの報道によると、今回の上海国際映画祭では、日本の最新作を紹介する「日本映画週間」が設置されず、日本映画の上映も行われない。同時に、日本籍の人物が審査員に招聘されることもなかった。第28回上海国際映画祭の金爵賞審査委員長はトニー・レオン(梁朝偉)が務めている。

映画祭の関係者は「日本作品がとても好きなので、日本映画が見られないのは残念だ」と漏らしている。上海国際映画祭は、国際映画製作者連盟が3月に発表した新たな「A級映画祭」の公認リストにおいて維持されているように、中国で唯一の国際A級映画祭であり、アジアの映画交流における重要な窓口である。アニメ、作家性の高い映画、俳優の出演作などが、この映画祭を通じて中国の観客の視野に入ってきた。今年の「不在」は、長期にわたり存在していた交流の入り口が突如として閉ざされたことを意味している。

過去の対立やコロナ禍でも途絶えなかった「日本映画週間」の歴史

「日本映画週間」は2006年以降、ほぼ毎年、北京や上海などの国際映画祭に合わせて中国で開催されてきた。同時に、日本側も東京国際映画祭などの開催期間中に「中国映画週間」を継続して開催してきた。

日本政府が2012年に釣魚島およびその付属島嶼である南小島、北小島の「購入」を宣言した際や、コロナ禍の時期であっても、この文化交流のルートが完全に途絶えることはなかった。2025年の上海国際映画祭では、人気アニメ『エヴァンゲリオン』のシリーズ誕生・放送30周年を記念した上映が行われ、日本の俳優であるオダギリジョーが主演を務めた映画『お夏の砂』も審査員大賞を受賞していた。それらと比較すると、2026年の空白は際立つ。なお、今年4月に開催された北京国際映画祭でも、同様に日本映画週間は設置されていなかった。

今回の上海映画祭には、125の国と地域から約4100本の応募作品があり、ガーナやモザンビークなどの国々からも初めて応募があった。金爵賞の5つのコンペティション部門に選出された作品のうち、世界初上映(ワールドプレミア)となる作品は41本で、全体の83.67%を占めており、昨年から6.12ポイント上昇した。また、メインコンペティション部門とドキュメンタリー部門では、初めてすべての選出作品が世界初上映となった。

背景に高市早苗首相の「台湾有事」発言と日中関係の緊張

現在公開されている情報の中で、最も直接的な見方を示しているのは日本メディア(共同通信社)や香港・台湾のメディアである。日本映画週間の不在は、緊迫が続く日中関係と関連している可能性がある。

高市早苗首相が2025年11月に「台湾有事」に関する発言を行ったことで日中関係が悪化し、中国側は経済貿易、軍事、人文交流などの分野で対抗措置をとった。これにより双方の観光業が影響を受けたほか、中国当局が国民に対して訪日を一時見合わせるよう呼びかけたため、日中間の航空便に大規模な運休が発生している。映画祭の公式側は、「日本映画の不在」を外交問題としては説明していないが、映画祭は国家関係、文化の開放度、市場の心理を測る温度計でもあるため、外部からはそのように解釈されている。

一方で、今年は中国共産党創立105周年にあたる。上海映画祭は上映ユニット「大好河山(大いなる山河)」を企画し、中国語映画のクラシック作品や新鋭による優れた佳作15本を厳選し、偉大な道のりを記録している。さらに、今月は上海で多くの「紅色映画(中国の主旋律・国策テーマの映画)」の上映活動が行われるほか、「光影105:中国共産党創立105周年記念紅色映画ポスター展」など、多角的な視点から紅色精神を解説する試みが展開される。

映画ファンと配給業界への影響、今後の3つの注視点

この現状は、一般の観客や業界に以下のような影響をもたらしている。 第一に、映画ファンが日本の新作映画を集中して鑑賞できる窓口が一つ失われた。多くの日本映画は必ずしも一般の劇場で公開されるとは限らず、映画祭が最速の、あるいは唯一の大スクリーンでの鑑賞機会となることが多い。 第二に、業界間の協力の進展が遅くなる。映画祭は、作品のスカウティング、取引、宣伝、買い付け、口コミの醸成が行われる現場である。人が来ず、作品が上映されなければ、協力のペースは自然と低下する。 第三に、文化交流がより敏感なものになる。今後、日本映画が戻ってこられるのか、いつ、どのような形式で戻ってくるのかは、すべてより大きな二国間関係の背景の中で観察されることになる可能性がある。

これから真に注視すべきなのは次の3点である。

  • 上海国際映画祭の今後の上映ラインナップやイベントに、日本関連のコンテンツが追加で補充されるかどうか。
  • 中国市場内における日本映画、アニメ、公演活動の延期が続くのか、あるいは再開されるのかどうか。
  • 次回の北京や上海の映画祭において、日本映画週間が再び姿を現すかどうか。

映画祭における日本映画の不在は、一見すると上映スケジュール上の空白にすぎないように見えるが、その背景には関係性、市場、心理が複合的に作用した結果があると考えられる。映画ファンは遺憾に思い、業界は警戒し、外部はそれを読み解こうとしている。

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