中国の対日タングステン輸出ゼロ 日中悪化で日本企業のコスト急増

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中国の対日タングステン輸出がゼロに、日中関係悪化で供給途絶

日中外交関係の悪化に改善の兆しが見られない中、中国側が出口規制(輸出管理)を強化している。中国海関総署(税関総署)が発表したデータに基づき、日本の共同通信をはじめとするメディアが報じたところによると、2026年2月から4月にかけて、自動車部品や航空機の加工などの基幹産業に用いられるレアメタル(希少金属)の炭化タングステンやタングステン粉末といったタングステン関連加工製品の日本への輸出量がゼロになった。

中国は1月から、軍民両用(デュアルユース)物品について、日本の軍事的なユーザー、軍事使途、および日本の軍事力向上につながる一切のその他のエンドユーザー使途への輸出を全面禁止しており、この中に一部のタングステン関連製品が含まれている。タングステンは磁石などに必要なレアアースと同様に中国の規制対象であり、硬度が高い特性から金属を切削するドリルなどの工具の刃先(超硬合金)に使用されるほか、砲弾やミサイルなどの兵器製造にも不可欠な材料である。中国は世界最大のタングステン生産国であり、世界の鉱石・製品生産量の約8割を占めている。

サプライチェーン分断で調達価格が3倍以上に高騰

中国による供給途絶を受け、日本企業は深刻なサプライチェーンの分断とコスト上昇の圧力に直面している。現在、関連製品の調達価格は元の3倍以上に跳ね上がり、自動車などの生産コストを押し上げている。台湾の中央通信社なども、これら日本メディアの情報を基に、日中悪化による供給途絶と日本企業への影響を伝えている。

日本の電子部品・材料メーカーである住友電気工業の井上治社長は5月の時点で、「中国からの(タングステンの)調達は完全に停止した」と述べ、危機感を示していた。同社はこれまで原材料の約3割を中国からの輸入に依存していたが、現在は中国からの調達を完全に停止し、米国からの代替調達への切り替えを進めている。これにより日本国内で必要な量はほぼ賄えるとしているが、コスト増加に伴い、自動車・航空機加工用工具などの関連製品価格を最大6割値上げした。

また、三菱マテリアル(三菱総合材料)も、超硬素材に用いるタングステン製品およびタングステンを含む材料について、6月以降の受注価格(注文価格)を従来の3倍以上に引き上げると発表した。

さらに、この影響は消費財にも及んでいる。日本国内初の量産型超硬合金製包丁「KISEKI:」の製造元である福田刃物工業は、今月から三徳包丁の税込価格を約3万4600円(約1705香港ドル)から4万9500円(約2439香港ドル)に値上げすると発表した。開発責任者である福田恵介取締役は、中国の輸出規制の影響を受け、タングステンの中間原料価格が今年春時点で昨年1月と比べて約10倍に急騰したため、コストを消費者に転嫁せざるを得なかったと指摘している。

日本企業はタングステン製品の代替確保とリサイクル強化へ

調達価格が3倍以上に高騰する中、日本企業は他国からの代替調達や、使用済み工具を回収して原燃料を再利用する循環体制(リサイクル)の強化による対応を急いでいる。

住友電気工業は米国からの代替調達への切り替えを進める一方で、約160億円を投じて日本の富山県に新工場を建設し、使用済み工具の回収・再利用体制を拡充してリサイクル体制を強化している。三菱マテリアルも同様に、日本の秋田県やドイツの工場におけるリサイクル処理能力を大幅に引き上げる計画を進めている。

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