中国が対日レアアース輸出を4カ月連続停止、外交部は「日本の再軍事化・核保有阻止」を主張 半導体材料ガリウムも全面ストップ

Cartoon woman in a gray blazer points to the right against a blue background with red panel and yellow stars suggesting China, conveying instruction or direction.

対日レアアース輸出事実上停止 「再軍事化阻止」

中国が日本への一部希土類(レアアース)製品の輸出を約4カ月間にわたり事実上停止していることが、中国税関のデータなどから明らかになった。中国メディアの澎湃新聞などが伝えた。

中国外務省の毛寧副報道局長は25日の記者会見で、この措置が台湾問題をめぐる日中の対立と関係しているのかとの問いに対し、詳細な状況は主管部門に確認するよう促した。その上で、中国は法に基づき、日本の軍用品と軍民両用品の輸出を禁止していると言明。その目的は「日本の再軍事化および核保有の企てを阻止すること」と強調した。報道によると、中国は昨年12月以降、ジスプロシウムやテルビウムなどの重希土類の対日輸出を基本的に停止した。半導体製造に不可欠なガリウムの輸出もほぼ全面的にストップしている。

また、会見では米中首脳会談で日本の再軍事化問題が議論されたとする報道についても質問が出たが、毛寧報道官は「把握している状況と一致しない」と否定し、日中関係における中国側の立場は明確であると述べるにとどめた。

経済的制圧を狙う中国の政策意図と産業構造への打撃

今回の中国によるレアアースおよび半導体材料の輸出制限は、単なる貿易管理の枠組みを超えた、極めて強い政治的・軍事的な政策意図に基づいている。中国海関総署(税関総署)が発表した5月の最新データによると、中国の4月のレアアース磁石の総輸出量は5126.3トンと前年同月比で94.8%もの大幅な伸びを記録している。しかし、その一方で対日輸出に限ってみれば、4月は前月比2.5%の微増にとどまり、3月に記録した17.3%という急落の穴埋めには遠く及ばない。世界全体への供給を増やしながら日本向けのみを狙い撃ちにする手法は、経済的手段を安全保障上の武器として用いる「経済的威圧」そのものである。

中国側が名目として掲げたのは、軍事転用を防止する「デュアルユース(軍民両用)規制」である。ジスプロシウムやテルビウムなどの重レアアースは、次世代自動車(EV)の高効率モーターや防衛産業の精密機器に不可欠な戦略物資であり、ガリウムは高性能パワー半導体や次世代5G通信レーダーの基盤となる。これらを一斉に遮断することで、日本が推進する防衛力の強化や、経済安全保障の一環としての先端半導体製造基盤の構築に対して、直接的な産業的打撃を与える狙いがある。中国政府は、日本の防衛費増額や台湾海峡への関与を「再軍事化」と位置づけ、そのサプライチェーンの急所を握ることで、日本の外交方針に揺さぶりをかけている。

迫られる日本企業の戦略転換と国際的なサプライチェーン再編

この事態を受け、日本のハイテク産業や自動車メーカー、半導体関連企業は、抜本的な企業戦略の転換を迫られている。これまでの中国一国に依存した安価な原材料調達の産業構造は崩壊し、事業継続のためのデカップリング(分断)への対応が急務となった。具体的には、モーターの脱レアアース化(磁石の成分変更や代替技術の開発)や、ガリウムをはじめとする重要鉱物のリサイクル技術の確立、さらにはオーストラリアや米国、東南アジアといった代替調達先の開拓が加速している。しかし、レアアースの精錬プロセスにおいては依然として中国が圧倒的な世界シェアとコスト競争力を保持しており、他国での代替サプライチェーン構築には膨大な時間と投資が必要となる。

さらに、この日中間の摩擦は国際的な通商秩序や東アジアの安全保障環境にも広範な影響を及ぼしている。会見でも取り上げられたように、英国のフィナンシャル・タイムズ紙は「米中首脳会談において日本の再軍事化が議題となり、米国大統領が日本の立場を支持した」と報じた。中国側はこの報道を否定したものの、日中間の資源をめぐる攻防が、米中対立や台湾問題を内包する国際政治のパワーゲームと直結していることは明白である。日本が米国や欧州などの同盟国と連携し、重要物資の「マインド・ザ・ギャップ(供給網の隙間)」をどのように埋めていくかが、今後の東アジアにおける経済安全保障の主導権を大きく左右することになる。

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