米中、ソウルで最終調整の経貿協議へ 14日の首脳会談に向けた「地ならし」大詰め

米中、ソウルで経済協議へ 首脳会談に向け大詰め

米中両政府は10日、閣僚級による経済・貿易協議を12、13の両日に韓国のソウルで開催すると発表した。14日に北京で予定されているトランプ米大統領と習近平国家主席による首脳会談を前に、懸案事項の最終調整を進める「地ならし」の場となる。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)などが伝えた。

中国側からは何立峰副首相、米国側からはベッセント財務長官が出席する。ベッセント氏は訪韓に先立ち12日に日本で高市早苗首相らと会談した後、ソウル入りする。同氏は「経済と国家の安全保障は不可分だ」と強調し、「アメリカ・ファースト」政策の推進に意欲を示した。両国は2025年以降、第三国で7回以上の高官級協議を重ねており、今回が首脳会談前最後の直接交渉となる。

一方、中国外務省はトランプ氏が13日から15日まで国事訪問すると発表した。当初は3月に予定されていたが、イラン情勢の緊迫化で延期されていた。トランプ氏は13日夜に北京入りし、14日の首脳会談と公式晩餐会、15日のワーキングランチを経て帰国する。ホワイトハウスは今回の訪中の目的を「相互主義に基づいた対中関係の再構築」としており、ソウルでの協議を経て、北京でどのような合意が形成されるかが焦点となる。

第三国協議の常態化と「アメリカ・ファースト」の再定義

今回のソウル協議は、米中双方が2025年以降に積み重ねてきた集中的な実務協議の延長線上にある。注目すべきは、主要な交渉の舞台がワシントンや北京ではなく、クアラルンプールや今回のソウルのように、第三国に設定されている点だ。これは、両国が国内の対立世論を意識しつつも、実利的な妥協点を探るための「中立地」を必要としていることの表れといえる。

ベッセント財務長官が掲げる「経済安全保障と国家安全保障の一体化」は、トランプ政権の対中政策の根幹を成す。具体的には、ハイテク分野でのサプライチェーンからの中国排除や、貿易赤字解消に向けた新たな関税障壁の構築が含まれる。特に、電気自動車(EV)や定置用蓄電池で圧倒的なシェアを誇るCATLなど、中国のクリーンエネルギー関連企業に対する規制の枠組みが、今回の協議の裏テーマになるとみられる。中国側は、何立峰氏を筆頭とする交渉団が「彼此関心の経貿問題(互いに関心を持つ経済・貿易問題)」として、米側の制裁緩和を引き出したい考えだ。

北京首脳会談の展望と産業界への波及

14日に北京で開催される首脳会談は、イランでの戦事による延期を経て、ようやく実現にこぎつけた。米側のホワイトハウス関係者によれば、トランプ氏の訪中は単なる外交儀礼ではなく、米国の経済的自立を回復させるための「ディール(取引)」の場となる。トランプ氏は3月下旬に米最高裁がトランプ関税に対して下した判断などを背景に、より強力な交渉カードを握って訪中に臨む構えだ。

産業界では、今回の会談が半導体や重要鉱物の流通網にどのような影響を与えるか、固唾を飲んで見守っている。米主導の重要鉱物連合(MSP)が始動する中で、中国側がレアアースの武器化を維持するのか、あるいは経貿協議を通じて一定の譲歩を示すのかが鍵となる。また、中国国内で加速する米製セキュリティソフトの排除など、技術デカップリングの動きが今回の合意によって抑制されるのか、あるいは加速するのか。首脳会談後に発表される見通しの共同声明には、今後の国際物流や産業構造を左右する重要なメッセージが盛り込まれることになるだろう。

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