欧州議会が中国「民族団結進歩促進法」を非難 少数民族同化と「法律の武器化」に懸念

A young monk in maroon robes writes at a desk in a classroom, with a large poster about language policy on the wall and stacked books nearby.

欧州議会、中国「民族団結法」非難 少数民族同化に懸念

欧州議会は4月30日、中国で3月に成立した「民族団結進歩促進法」を非難する決議を採択した。同法が少数民族の文化や言語の自由を制限し、強制的同化を助長していると指摘。中国政府に対し法の廃止を求めるとともに、欧州連合(EU)へ関与当局者への人権制裁発動を促した。台湾の中央通信社などが伝えた。

中国駐EU使節団は1日、決議は「事実を無視した悪意ある中傷」と猛反発した。中国側は、自国を「統一された多民族国家」とし、法に基づき全民族の権利を保障していると主張。欧州議会に対し、人権を口実とした内政干渉を直ちに停止するよう厳正な申し入れを行った。

全国人民代表大会で可決された同法は、標準中国語(普通話)による教育を幼稚園前から義務付けるなど、「中華民族共同体意識」の強化を国民の法的義務と定めた。専門家からは、チベットやウイグルなどの少数民族のアイデンティティーを剥奪する「法律の武器化」との批判が出ている。

中国当局は「現代化に不可欠」と正当化するが、国際社会との溝は深まっており、中欧関係の新たな火種となっている。

言語教育の義務化とアイデンティティーの剥奪

今回、欧州議会が強い懸念を示した最大の焦点は、同法が「民族団結」の名の下に、少数民族独自の言語や文化との繋がりを断ち切る強制力を備えている点にある。  同法は、すべての子供に対して幼稚園入園前から高校卒業まで標準中国語(普通話)による教育を義務付けている。これまでチベット族やウイグル族、モンゴル族などの地域では、自らの母語で多くの授業を受ける権利が一定程度認められてきたが、新法の施行によりその余地は事実上消滅する。専門家は、次世代から独自の言語と文化を強制的かつ組織的に忘れさせ、漢民族を中心とした国家意識へ統合しようとする「文化的なジェノサイド」に近い政策転換であると分析している。

欧州議会の決議文では、こうした教育政策が少数民族のアイデンティティーに対する抑圧を強化するものであると断じ、EU理事会に対して「グローバル人権制裁メカニズム」の発動を求めた。これは、同法の策定や執行に直接関与した当局者や団体に対し、資産凍結や渡航制限などの具体的制裁を科すよう迫るもので、中欧間の政治的緊張を一段と高める要因となっている。

法律の武器化と「沈黙する自由」の消滅

法学的な視点から見た同法の特異性は、曖昧な政治的概念を国民の「作為義務(なすべき義務)」へと転換させたことにある。全65条のうち53カ所で「応当(~すべきである)」という表現が使われており、これまで「積極的な分離独立」を防ぐことに主眼を置いていた治安維持の論理が、今後は「積極的な団結と統一への協力」を義務付ける論理へと拡張された。    これは、特定の政治的立場を表明しない、あるいは沈黙を守るという消極的な自由さえも罪に問われかねないことを意味する。法律の適用範囲は一般市民にとどまらず、企業や教育機関、さらには未成年の保護者にまで及び、社会全体に綿密な政治審査の網を張り巡らせる構造となっている。専門家はこれを「法律の武器化」と呼び、相互監視を奨励することで社会の信頼関係を瓦解させ、体制への「予防的な忠誠」を強いる仕組みであると指摘している。

これに対し、北京当局は一貫して「標準中国語の普及は少数民族の雇用機会を広げ、経済的な現代化を達成するために不可欠な手段である」と主張し、内政問題への不当な干渉として欧州側の批判を退けている。しかし、1949年の建国以来、多民族の多様性を形式上は認めてきた中国の民族政策が、完全に「単一的な統合」へと舵を切ったことは明白であり、国際社会との摩擦は今後も継続する見通しだ。

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