深圳のマンション販売で3割値下げ、客殺到で警備員が催涙スプレー噴射の混乱

深圳で数年ぶりの「奪い合い」発生、背景に3割の価格破壊

広東省深セン市龍華区のマンション物件「幸福城臻園」の販売現場において13日、購入希望者が殺到して秩序が崩壊し、警備員が群衆に対して催涙スプレーを噴射して強制排除を行うという衝撃的な事件が発生した。中国のSNS上では、噴射を浴びた人々が激しく咳き込みながら顔を押さえて逃げ惑う動画が拡散され、「家を買うのにこれほどの暴力を受けるのか」と大きな波紋を広げている。

事態を重く見た深セン市龍華区の合同調査チームは、催涙スプレーを噴射した警備員の楊某を公安機関によって行政拘留処分とした。開発業者である深セン市鴻耀泰実業は「警備員はアルバイトであり、独断による行動だった」と謝罪文を出したが、事件の背景には中国不動産市場の深刻な冷え込みと、在庫処分を急ぐデベロッパーの危機的な状況が浮き彫りとなっている。

今回の騒動を引き起こしたのは、開発業者が打ち出した極端な値下げ戦略である。販売された3棟の住宅は、当局への届け出価格(約6.5万元)から約3割も引き下げた1平方メートルあたり約3.8万元(約79万円)という破格の単価で提供された。昨年の平均価格と比較しても30%近い下落であり、この「価格破壊」に加えて「先着順」という販売方式が取られたことで、12日夜から数百人の購入希望者や仲介業者が徹夜で営業センターを取り囲む異常事態となった。

「値下げ禁止令」との攻防、デベロッパーの苦肉の策

中国の不動産市場では、急激な価格下落が資産価値の毀損や金融システムへの波及を招くことを懸念し、地方政府が「値下げ禁止令(限跌令)」を敷くケースが多い。通常、届け出価格からの値下げ幅は10%から15%程度に制限されている。しかし、今回のケースでは30%もの値下げが断行されており、当局の価格統制が形骸化しつつある実態を示している。

デベロッパーがこれほどの強硬な値下げに踏み切る背景には、深刻な資金繰りの悪化がある。深セン市龍華区はかつて不動産バブルの恩恵を大きく受けたエリアだが、現在は膨大な在庫を抱え、買い手がつかない状況が続いている。開発業者にとっては、利益を削ってでも現金を回収しなければ倒産リスクに直面するという「背水の陣」の状態にある。

市場関係者によると、幸福城臻園が大幅な値下げを選択した理由には、物件自体の条件も影響しているという。近隣の分譲マンションと共用施設を共有できない、容積率が高く居住性が劣るなどのマイナス要因を、価格の安さで補おうとした戦略だ。しかし、この極端な安売りは周辺物件の相場をさらに引き下げる「ドミノ倒し」の懸念を強めており、現地の市場監督管理局はデベロッパーの価格届け出状況について詳細な調査を開始している。

依然として冷え込む中国不動産市場と今後の展望

今回の事件は、深センという中国屈指の経済都市であっても、価格を極端に下げなければ需要を掘り起こせないほど市場が冷え込んでいることを露呈させた。特定のプロジェクトが一時的に活況を呈したとしても、それはあくまで限定的な事象に過ぎない。深セン中原研究センターの鄒少偉氏は、「個別のプロジェクトが熱狂を生んでも、市場全体の低迷や在庫圧力という根本的な課題を覆すには至らない」と分析する。

中国政府は不動産市場のテコ入れ策を次々と打ち出しているが、消費者の不透明な将来不安は根強く、実需層の購買意欲は戻っていない。また、今回の事件によって「大幅な値下げ待望論」が市場に定着すれば、消費者はさらなる下落を待って買い控えるという逆効果を生む可能性もある。

産業構造の観点から見れば、不動産開発投資の減少は中国のGDP成長率を押し下げる大きな要因となっており、デベロッパーの再編や国有企業による主導権の掌握が加速している。しかし、民間の開発業者が生き残りをかけて今回のような「価格破壊」を仕掛ければ、市場の秩序はさらに混乱し、社会不安を招く恐れがある。深セン当局は今後、不動産販売現場の管理を強化するとともに、不当な価格競争に対する監視を強める方針だが、需給バランスの崩壊という構造的な病巣の解決には、まだ長い時間を要するだろう。

[出典] • 深圳樓盤大減價引通宵排隊搶樓!有人打尖爆衝突保安噴辣椒水驅趕 | 香港01深圳樓盤大減價開售爆衝突 保安員噴辣椒水驅人群 | on.cc東網深圳樓盤遭哄搶 保安噴辣椒水趕人 開發商緊急致歉 | 世界日報

[関連情報] • 中国不動産市場の低迷続く、地方政府の支援策も効果限定地方政府が不動産在庫処理を加速、購入補助も拡充住宅価格の下落続く、消費者心理に影響不動産開発投資が減少、景気下押し圧力に

#中国不動産 #深圳 #住宅価格 #不動産不況 #催涙スプレー

タイトルとURLをコピーしました