
中国、イランに停戦働き掛け トランプ氏が異例の称賛
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は9日、中国がイラン戦争の停戦仲介に乗り出し、イラン政府に米国との対話に応じるよう促したことで、トランプ大統領から異例の称賛を得たと報じた。中国政府の関与は決定的な要因ではなかったものの、5月14日から15日に北京で予定されているトランプ氏と習近平国家主席の首脳会談を前に、習氏は貴重な「外交的資本」を手にした。
今回の中国の外交攻勢は、5月の訪中に向けた緻密な布石とみられる。習氏は、イランや北朝鮮問題における自国の有用性を誇示し、見返りに、対中関税の緩和や先端技術の輸出規制解除を狙う。さらに、中国にとっての「究極の標的」である台湾問題において、米側の譲歩を引き出す構えだ。
中国政府は同時に、台湾の野党・国民党の鄭麗文主席を「平和使節団」として招致。10年ぶりとなる国民党トップの訪中とイランでの仲介を並行して進めることで、「米国が干渉さえしなければ、軍事介入なしに地域秩序を安定させられる」というビジョンを提示している。11月の中間選挙を控え、米産品の購入拡大という「実績」を欲するトランプ氏に対し、習氏が地政学的な優位をどこまで交渉材料にできるかが焦点となる。
停戦仲介で見せた存在感と多角外交の狙い
中国がイラン戦争において異例の外交的進出を見せ、テヘランに対し米国との対話に応じるよう促したことは、国際社会に大きな衝撃を与えた。戦争観測筋の多くは、2週間の休戦を仲介したのはパキスタン、トルコ、エジプトであると見ている。しかしトランプ氏は、イランを合意に至らせた立役者として特に中国の名を挙げた。ホワイトハウスも、米中両政府が「最高レベル」で停戦計画を協議したことを認めている。
中国当局によれば、王毅外相は北京を仲介者として位置づけるため、各国閣僚と26回にわたる電話会談を重ねた。3月31日にパキスタンと共同提案した「停戦とホルムズ海峡の再開」を求める計画は、中国を安全保障のパートナーかつ石油の主要顧客とみなすイランにとって、外交的な「出口」を提供した形だ。
この外交協力の急拡大は、5月のトランプ氏の訪中に向けた、極めて政治的な計算に基づく。ジョージタウン大学のメデイロス教授は、「中国が台湾海峡やホルムズ海峡で理性的であれば、トランプ氏も中国の核心的利益に協力的であるべきだというメッセージだ」と分析する。北京の外交攻勢は中東以外にも及び、王外相は9日から2日間の日程で平壌を訪問。北朝鮮問題における北京の不可欠さを米側に印象づけている。
究極の標的「台湾」と米中首脳会談の行方
習氏は5月の首脳会談を利用して、米国の政策を「台湾は大陸と統一されるべき離反した州である」という中国側の見解へとシフトさせきたい考えだ。もし米国の支持が揺らげば、台湾内でも「何らかの形での統一は避けられない」という認識が強まる可能性がある。北京は、中東での仲介と台湾野党との対話を同時に提示することで、「米国抜きでの地域秩序」の可能性を誇示している。
一方、トランプ氏にとってもこの会談は、11月の中間選挙を前に、中国から農産物や工業製品の大量購入を勝ち取るための重要な機会となる。習氏はこうしたトランプ氏の国内事情を逆手に取り、地政学的な譲歩と引き換えに、関税緩和やハイテク輸出規制の解除を迫る構えだ。
[出典] ・China Gains Favor With Trump by Dipping Into Iran Diplomacy(Wall Street Journal) ・促美伊談和又會鄭麗文 WSJ:5月川習會前 習近平多方累積外交籌碼(聯合報)
[関連情報] ・米中首脳会談2026年の展望|トランプ氏4月訪中と習近平氏訪米で関係改善は進むか ・米中首脳が電話会談で台湾問題に警告、習近平氏は同日にプーチン氏とも会談 ・トランプ氏、高市首相に台湾発言の抑制を要請か 米中貿易交渉を優先
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