中国軍高級幹部集め研修 習近平氏が法規遵守訓示 忠誠第一を要求

中国軍高級幹部集め研修 習近平氏が忠誠要求

中国共産党の習近平総書記(中央軍事委員会主席)は8日、国防大学で開講した「全軍高級幹部研修班」の式典に出席し、軍の高官らに対し「法と規律を理解し、ルールを明確にし、畏敬の念を持たねばならない」と訓示した。大規模な汚職摘発によって軍首脳部がほぼ一掃される形で入れ替わる中、異例の思想教育を通じて軍への統制を徹底させる狙いがあるとみられる。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)などが伝えた。

軍内では2022年の第20回党大会以降、激しい反腐敗工作が続いている。魏鳳和、李尚福の両元国防相が党籍剥奪などの処分を受けたほか、今年1月24日には、習氏の側近中の側近とされた張又侠・軍事委員会副主席が突如失脚した。軍の公式メディアは、張氏らが「軍事委員会主席責任制を深刻に破壊した」と批判しており、習氏への直接的な言動が問題視されたとの見方が強い。

現在、2022年に発足した中央軍事委員会のメンバー7名のうち、残留しているのは習氏と、昨年10月に昇進した張升民副主席のみという異常事態となっている。習氏は演説で、自らの思想を指針とした「思想の引き締め」を要求した上、法規の遵守に「例外や特権はない」と断じた。かつての軍将校には実戦経験や軍事謀略が求められたが、現在は指導者への絶対的な忠誠を誓う「政治第一」の姿勢が最優先されている。2027年の建軍100周年を前に、軍内の異論を排除する動きは今後も続く見通しだ。

崩壊した軍指導部と「畏敬」を強いる恐怖政治

今回の研修班が開催された背景には、1月に起きた軍事委員会副主席・張又侠氏の失脚による軍内部の極めて大きな動揺がある。張氏は単なる官僚ではなく、軍内に根強い支持を持つ実戦派の重鎮であった。その張氏が「軍事委員会主席責任制の破壊」という、習氏個人の権威を侵したとする罪状で排除された事実は、軍全体に対し「専門性や功績は、忠誠心の前では無価値である」という強烈な警告となっている。

習氏が演説で繰り返した「畏敬の念」とは、軍事的な教義への敬意ではなく、習氏自身への個人崇拝に近い絶対服従を求めたものだ。かつての延安整風運動を想起させるこの手法は、組織の合理性を破壊してでも自らの権力基盤を固めようとする習氏の執念を浮き彫りにしている。知情筋によれば、現在の軍高層部は「失言を恐れて誰も意見を言わない」死文化した組織と化しており、有事の際の指揮系統に深刻な懸念が生じている。

建軍100周年への焦燥と不安定化する軍事バランス

習氏がこの時期に異例の「政治的な引き締め」を強行するのは、2027年の建軍100周年に向け、軍を「私兵」として完全に掌握する必要があるためだ。習氏は対外的に「世界一流の軍隊」を標榜し、台湾統一を含む野心を隠さないが、その足元では側近すら信じられない疑心暗鬼の連鎖が止まらない。

この徹底した軍の政治化は、国際社会にとって予測不能なリスクとなる。専門的な軍事判断よりも、指導者への忖度や政治的利害が優先される組織は、危機管理における誤算を招きやすい。また、張又侠氏のような「米中対話の窓口」が失われたことで、軍事衝突を回避するための現実的な意思疎通のパイプも遮断されている。2027年に向けて習近平氏による軍の「思想矯正」が加速する中、人民解放軍はかつてない混迷と脆弱性を抱えたまま、歴史的な節目を迎えようとしている。

[出典] ・解放軍高幹培訓班開課 習近平:要以嶄新政治面貌迎接建軍百年(ETtoday新聞雲) ・张又侠落马教训?习近平要全军高级将领“知敬畏”(RFI 華語) ・共軍反腐下首辦高幹培訓班 習近平:要懂法紀明規矩(中央通訊社)

[関連情報] ・張又侠の失脚と中国軍の「沈黙」が示す異常事態:習近平政権は統治危機に直面か中国軍No.2・張又侠氏失脚の深層:軍委主席責任制の破壊と習近平政権が直面する「建軍以来最大の敗北」中国軍No.2・張又侠氏を「重大な規律違反」で捜査開始:WSJが報じた米国への核機密漏洩疑惑と軍指導部崩壊の衝撃張又俠氏の失脚が揺るがす米中軍事対話の基盤 「理性的な窓口」喪失の衝撃中国軍制服組トップ・張又侠氏に失脚の兆候か 重要会議欠席 中南海で権力闘争激化の憶測

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