広東省信宜で火葬場建設巡り警民衝突 住民が猛反発 土地収用巡る不透明な実態

広東省信宜で火葬場建設巡り警民衝突 住民が猛反発

中国広東省茂名市内の信宜市政府前で18日、火葬場建設計画に反対する住民ら数百人と、警棒や盾で武装した警察の機動隊が激しく衝突し、多数の負傷者が出た。現地住民は、地方政府が2024年から道路の建設名目で土地を収用しながら、実際には学校や集落の至近距離に火葬場を建設しようとしていることに憤慨している。台湾の中央通信社などが伝えた。

信宜市政府は3月16日、1億4500万元(約32億円)を投じて葬祭施設「信宜頤福園」を建設する公告を出した。政府は「半径500メートル以内に居住者はいない」と主張するが、実際には約500メートルの地点に小学校があり、水源や集落も点在している。住民は「2025年下半期に突如工事が再開され、公告を見て初めて騙されたと知った」と訴えている。

3月17日に、末端行政機関の旺埇村委員会前で始まった抗議活動は、その後市政府前へと拡大。現場では、白髪の高齢女性が卵や石を投げ、警察側が放水車や催涙ガス、警棒で制圧する様子が報じられている。住民が警察に囲まれて暴行を受けたり、担ぎ出されて連行されたりする事態も相次いだ。18日からは村の入り口にパトカーが駐留し、特殊警察による検問が行われているほか、住民らがSNS投稿の削除を要請されるなど、当局による情報封鎖も強まっている。

欺瞞的な土地収用と地方政府の財政事情

今回の衝突の背景には、地方政府による不透明な土地収用プロセスがある。住民側の証言によれば、政府は当初「励儒大道」という幹線道路の建設を名目に掲げて土地を徴収していた。しかし、プロジェクトが一時中断した後の2025年後半に突如工事が再開されると、実際には葬儀場および火葬場の基礎工事が進められていたという。このような「名目を変えた土地転用」は中国各地で頻発しており、住民の権利が軽視される土壌となっている。

また、産業構造の観点から見ると、地方政府が火葬場を含む葬祭インフラの整備を急ぐ背景には、土地の有効活用と葬祭ビジネスによる収益確保という意図が透けて見える。広東省のような人口密集地では、伝統的な土葬から火葬への強制的な移行が進められており、それに伴う葬祭施設の建設は地方政府にとって安定した「公事業」としての側面を持つ。しかし、環境アセスメントや住民への事前説明を軽視した強引な手法が、今回のような激しい警民衝突を招く結果となった。

繰り返される「茂名モデル」の衝突と社会不安

広東省茂名地区において、火葬場建設を巡る大規模な抗議活動が発生したのは今回が初めてではない。2019年11月には、同じ茂名市内の化州文楼鎮において、政府が「生態公園」の建設名目で土地を収用し、秘密裏に火葬場を建設しようとしたことが発覚。この際も機動隊による激しい鎮圧が行われ、最終的に政府が「永久に建設しない」と宣言するまで事態は収束しなかった。

今回の信宜市での事件は、過去の教訓が活かされていないことを示している。中国の地方政府は深刻な債務問題を抱えており、土地使用権の売却やインフラ開発を通じた経済活性化に依存せざるを得ない状況にある。しかし、不動産市場の低迷に伴い、政府の収入源は細り、住民への補償金支払いも滞りがちだ。こうした経済的圧力が、住民の生活基盤や環境安全を脅かす強引な開発を加速させ、社会的不安を増大させている。

国際的な視点で見れば、中国国内で発生するこうした「権利擁護運動(維権運動)」の激化は、習近平政権が掲げる「社会の安定」が依然として脆弱な基盤の上に立っていることを物語る。特にSNSを通じた情報の拡散を恐れる当局が、停電や検問、投稿削除といった物理的・技術的封鎖を即座に実行する様子は、中国における情報統制の厳格さを改めて浮き彫りにしている。今後、同様のプロジェクトが他の地域でも計画されていることから、当局の対応次第では抗議の連鎖が広がる可能性も否定できない。

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