
中央軍事委副主席、軍に習近平氏への徹底服従要求
中国で全国人民代表大会(全人代)が5日に開幕する中、中国軍の最高機関である中央軍事委員会の張升民副主席は同日、人民解放軍と武装警察部隊の代表団による政府活動報告の審議の際に発言し、習近平総書記・中央軍事委主席の指揮に断固として従うよう全軍に求めるとともに、軍事訓練と戦備を全面的に強化するよう指示した。
中国メディアによると、張升民は、中央軍事委主席に最終的な指揮権を集中させる「中央軍事委主席責任制」を徹底するとともに、軍内部の思想教育の強化や規律の引き締め、汚職摘発を進め、習近平主席の指揮に絶対的に従う体制を軍全体で一段と固める必要があると強調した。さらに、実戦を想定した訓練を拡充し、情勢に応じて軍事行動を機動的に展開できる態勢を整えることで、国家主権と安全、発展利益を守るよう求めた。
張升民は、2021~25年の第14次五カ年計画が完結し、中国式現代化が着実に進んだと指摘。その成果は習近平を党中央と全党の核心とする地位と、習近平の新時代中国の特色ある社会主義思想の指導的地位を確立した「二つの確立」の重要性を示すものだと述べた。
軍事訓練の全面強化と「建軍100年」への布石
今年は人民解放軍が建軍100年目標の達成に向けた重要な年とされ、張升民は体系作戦能力の統合や新領域・新型作戦力の整備を加速し、第15次五カ年計画(2026~30年)期の国防建設を円滑に始動させるよう求めた。具体的には、AIや無人機を活用した「知能化」や、宇宙・サイバー空間といった新領域における作戦能力の向上が念頭にあるとみられる。
また、張は「軍事統治の強化」についても言及した。これは単なる規律維持に留まらず、国防費の効率的な運用や、研究開発から実戦配備までのプロセスを習近平の意向に沿って再編することを意味する。第15次五カ年計画のスタートにあたり、政治的純潔性と高度な実戦能力を両立させることが、現在の指導部に課せられた最優先課題となっている。
粛清の嵐が残した「二人だけの軍事委員会」
今回の解放軍・武警代表団は243人で、当初の281人から大幅に減少した。さらに異例なのは、軍内の反腐敗運動の影響により副団長が置かれなかったことだ。これは、かつて副団長候補となるはずだった高官たちが相次いで失脚し、信頼できる適任者が不在であることを示唆している。
軍指導部を対象に行われた大規模な粛清の結果、第20回党大会後の中央軍事委メンバー7人のうち、現在では主席の習近平と張升民しか残っていない。軍内の汚職摘発を司る規律検査委員会書記を兼ねる張升民は、習近平の「刀」として軍の浄化を主導してきた人物だ。その彼が改めて絶対服従を求めたことは、軍内部に依然として拭いきれない不信感や「不忠誠」への警戒心が漂っていることの裏返しでもある。
かつて軍の実力者として知られた張又侠氏らの不在は、米中軍事対話などの外交面にも影を落としている。技術力と作戦能力の向上を急ぐ一方で、組織の根幹を支える人的資源が政治的な動乱によって不安定化している現状は、中国が掲げる「強軍の夢」にとって大きなアキレス腱となる可能性がある。
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