NIO(蔚来)が24万台超の大規模リコールを発表 走行中のブラックアウト問題とEVソフトウェア安全の課題

NIOが24万台超の大規模リコールを発表、走行中の「ブラックアウト」問題解決へ

中国の新エネルギー車(NEV)大手、上海蔚来汽車(NIO)は2026年2月9日、計24万6229台の純電気自動車(BEV)を対象とした大規模なリコール(回収・無償修理)を国家市場監督管理総局に正式に届け出た。対象車種は2018年3月16日から2023年1月16日の間に生産された「ES8」「ES6」「EC6」の3車種におよぶ。

今回のリコールの直接的な原因は、車両を制御するソフトウェアの欠陥にある。国家市場監督管理総局の公告によれば、対象車両は特定の条件下でインストルメントパネル(計器盤)およびセンターディスプレイが短時間「ブラックアウト(画面消灯)」する恐れがある。この間、運転者は車速や故障警告、ナビゲーションといった重要な情報を確認できなくなるほか、フロントガラスの除霜・除霧機能も停止する。規制当局は、これが走行安全上の実質的なリスクになると警鐘を鳴らしている。

OTA技術による効率的修復と「責任」の所在

NIOは今回の問題に対し、通信経由でソフトウェアを更新する「オーバー・ザ・エア(OTA)」技術を活用して対応する。対象車両のソフトウェアを「Aspen 3.5.6」または「Alder 2.1.0」以降の最新バージョンへ無償でアップグレードすることで、潜在的なリスクを排除する計画だ。大多数のユーザーは店舗へ赴く必要がなく、オンライン経由で修復を完了できる一方、OTAが適用できない極少数の車両についてはサービスセンターが個別に入庫対応を行う。

この「ブラックアウト」問題は、以前からユーザーの間でトラブルが報告されており、SNS等で不満の声が上がっていた背景がある。2025年頃には、高速道路を時速120kmで走行中にシステムが突如暗転し、運転者が情報の乏しい状態で「ブラインド走行」を強いられた事例も報告されていた。当時のアフターサービス窓口はこれらを「偶発的な問題」として片付ける傾向にあったが、今回の正式なリコール開始は、一連の不具合が一部の車両に限ったことではなく、システムに起因する共通の欠陥であったことを裏付けた形だ。

スマートEV時代におけるソフトウェア安全の課題

自動車が「車輪のついたスマートフォン」へと変貌を遂げる中、ソフトウェア安全の担保は業界全体の課題となっている。過去5年間、ソフトウェアの欠陥はNEVリコールの主要因として急浮上しており、シャオミやBYD、BMWといった主要メーカーでも類似の事例が相次いでいる。

OTAによるリコールは修復の効率性を高める一方で、責任の所在を曖昧にする危険性もはらんでいる。安全上の欠陥が「ユーザー体験の向上」といった名目で処理される場合、透明性や強制力が欠如する恐れがあるためだ。中国当局は2021年から安全に関わるソフトウェア更新の届け出を義務化しているが、今回のNIOの事例は、依然として独立した第三者評価機関による検証や、より透明性の高い情報公開が不可欠であることを示唆している。ステアリングの裏側がアルゴリズムで制御される時代、コードのミスは利便性の低下ではなく、直接的に生命の危機へと直結するからだ。

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