
住宅街に大型ドローン墜落、負傷者なしも安全懸念が噴出
2026年2月6日、中国の「シリコンバレー」と称される広東省深圳市龍華区観瀾街道の住宅街「観湖園」において、大手物流企業・順豊(SF)グループ傘下の豊翼科技が運行する大型配送用ドローン「方舟80」が業務中に墜落した。当該機は翼幅4.8メートル、144リットルの大容量貨物室を備え、最大離陸重量120キログラム、最大巡航速度時速90キロメートルに達する中型物流ドローンである。
事故当時、機体は高度から落下したが、内蔵された安全装置により自動パラシュートが作動した。これにより機体は激しい損壊を免れ、原形を保った状態で着地した。幸いにも現場付近の住民に負傷者はなかったが、大型の機体が日常生活圏内に落下したという事実は市民に大きな衝撃を与えた。
現場周辺は日常的にドローンによるデリバリーや物流配送が行われている「低空経済」のモデル地区である。しかし、事故を目撃した市民からは「もしパラシュートが作動せずに直撃していれば、取り返しのつかない大惨事になっていた」との声が上がっており、市街地上空を重量物が飛行することに対する安全上の懸念が急速に強まっている。
「低空経済」の推進と繰り返される墜落リスクの教訓
今回の事故は、中国政府が国家戦略の新興産業として掲げる「低空経済(低空域における経済活動)」の脆さを露呈させた。深圳はドローン産業の世界的拠点であり、多くの都市で無人機による配送サービスが実用化されている。しかし、運用の拡大に伴い、物理的な故障や制御不能による墜落リスクの管理が追いついていない実態がある。
深圳市では過去にも同様の事故が発生している。2015年7月には、福田区にて高度100メートルからドローンが墜落し、停車中の車両を大破させる事故が起きた。当時は個人の無許可飛行(闇飛行)が主な原因であったが、今回のケースは認可を受けた大手企業による商業飛行中の事故である点が大きく異なる。この11年で機体は大型化し、運用頻度も飛躍的に増大しており、事故が発生した際の影響範囲は当時とは比較にならないほど拡大している。
専門家は、機体の耐空性証明の厳格化だけでなく、万が一の故障時に備えた飛行ルートの徹底的な再設計が必要だと指摘する。具体的には、人が密集する広場や主要道路を避け、リスクを最小化する航路設定の義務化が求められている。
次世代移動体eVTOLの開発と安全管理の高度化
一方で、中国ではドローン物流の先にある「空飛ぶクルマ」こと電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発も加速している。事故が発生した同時期の2026年2月6日、重慶市では中国航天科技集団などが開発した中国初の宇宙開発技術ベースのeVTOLが初飛行に成功した。
この新型機は飛行形態と陸上走行形態を切り替えられる「分離式」を採用し、高度3000メートル以下を時速150キロメートルで飛行できる性能を持つ。こうした有人・重量級の飛行体が実用化段階に入る中で、今回のような墜落事故はインフラとしての信頼性を揺るがしかねない。
運営企業の豊翼科技は事故原因の詳細な調査を進めているが、単なる機体トラブルの究明に留まらず、社会的な許容性を得るための安全対策の徹底が不可欠となる。低空経済が交通、物流、応急保障などの分野で真に定着するためには、利便性の追求と同時に、宇宙開発級の厳格な安全基準を民間の運用レベルでも担保することが、今後の産業発展の絶対条件となるだろう。
[出典]
低空經濟|深圳4.8米闊送貨無人機鬧市墜落 網民:幸無人受傷
有片|汽車飛機合一 中國首款航天造電動垂直起降飛行器首飛成功
[関連情報]
・米FCC、中国DJIなど外国製ドローンを全面規制へ 国家安全保障リスクを理由に新製品の輸入を禁止
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#深圳墜落 #ドローン配送 #低空経済 #順豊 #eVTOL

