黎智英氏に禁錮20年の実刑判決 欧米諸国は「司法の武器化」と猛反発、英国はBNO緩和で対抗措置

司法の武器化と国際社会の衝撃

香港高等法院(高裁)は9日、廃刊に追い込まれた「リンゴ日報」の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏に対し、香港国家安全維持法(国安法)に基づき、禁錮20年の実刑判決を言い渡した。78歳という黎氏の高齢を鑑みれば、この判決は事実上の終身刑に相当する重刑である。審理では「外国勢力との結託共謀」や「扇動的な出版物の発行共謀」など3つの罪状がすべて認定された。2020年の国安法施行以来、民主派への弾圧を強める香港当局の姿勢が改めて浮き彫りとなり、国際社会には大きな衝撃が広がっている。

ワシントンでは、判決直後に米国政府および議会から非難の声が相次いだ。マルコ・ルビオ米国務長官は声明を発表し、今回の判決を「不当かつ悲劇的な結末」と断じた。ルビオ氏は、北京当局が香港で基本的自由を提唱する人々を黙らせるために非同等な手段を講じていると指摘し、1984年の「英中共同声明」における国際的な公約が事実上放棄されたと厳しく批判している。

また、米議会の「中国に関する執行委員会(CECC)」議長を務めるダン・サリバン上院議員らは、今回の裁定を「司法を武器化して言論を罰し、社会全体を威嚇するもの」と糾弾した。さらに、ジョン・ムーレナー下院議員は、トランプ大統領が既に習近平国家主席に対し、黎氏の釈放と家族との再会を直接伝えていたことを明かし、黎氏の釈放こそが米中関係改善の出発点であると強調した。

英国の対抗措置とBNOパスポートの拡大

黎氏が英国市民権(BNO)を保持していることから、英国政府も迅速な対抗措置を打ち出した。英国のクーパー外相は、黎氏の健康状態悪化に強い懸念を示し、人道的立場からの即時釈放を求めて北京当局と交渉する方針を表明した。これと並行して、英内政省は「英国海外市民(BNO)パスポート」保持者を対象とした移住支援策のさらなる拡大を発表した。

BNOパスポートは、1997年の香港返還前に生まれた住民などに付与された特別な地位であり、英国での居住や就労、さらには将来的な市民権取得を可能にする制度である。英国政府は、黎氏への判決が「異議申し立てを犯罪化」する国安法の実態を示していると批判し、自由を求める香港市民への支援を強化する姿勢を鮮明にした。

対する中国側は、これらの動きを「司法主権への重大な干渉」と一蹴している。在英中国大使館は報道官談話を通じ、黎氏の活動は香港の繁栄と安定を著しく損なうものであり、「法律による制裁を受けるのは自業自得である」と主張した。また、「中英共同声明」は既に歴史的使命を終えたとの認識を繰り返し、英国によるBNOの拡大措置を「香港人を二級市民に陥れる卑劣な策略」と激しく糾弾している。

黎氏への判決を巡る米英と中国の対立は、春に予定される米中首脳会談の行方にも影を落としている。報道の自由という普遍的価値を巡る深い溝は、今後の国際秩序において解消しがたい懸案事項として残り続けるだろう。

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