中国・黒竜江省の老人ホームで火災、5人死亡の惨事 過去に消防法違反


黒竜江省チチハル市の老人ホームで5人が死亡する火災が発生

2026年2月2日午後3時ごろ、中国黒竜江省チチハル市建華区にある老人ホーム「芳華頤養」において、火災が発生した。現地の建華区人民政府および応急管理局の発表によると、この事故で入所者ら5人が死亡し、4人が負傷して病院に搬送された。火災発生の通報を受けて消防、応急管理、衛生健康などの各部門が直ちに現場へ急行し、救助活動と人員の転送作業にあたった。

現場では、通報から約20分後の午後3時19分に明火が消し止められたが、短時間のうちに多くの犠牲者が出る結果となった。近隣の商店主は当時の様子について、「午後3時ごろ、建物から濃い煙が噴き出しているのに気づいた。直後に多数の消防車がサイレンを鳴らして駆けつけ、救急車が慌ただしく往復して、高齢者たちが次々と運び出されていった」と語っており、現場が極めて緊迫した状況にあったことを示している。

過去に指摘されていた消防安全上の重大な欠陥

今回の火災で注目されているのは、当該施設が以前から消防安全上の問題を指摘され、行政罰を受けていたという事実である。公開資料および記者の調査によると、2023年8月に行われた現地の消防救援部門による監督検査において、同施設内で複数の違法行為が確認されていた。

具体的には、建物の北東部にある避難階段の内部にエレベーターが設置されていたほか、北側の屋外階段にエアコンの室外機が放置されていた。これらはいずれも、火災などの緊急時にスムーズな避難を妨げる「避難経路の不当な占有」にあたる違法行為である。この際、建華区消防救援大隊は同施設に対し、5100元(約11万円)の罰金を科していた。高齢者、特に自力での避難が困難な全介助の入所者も抱える施設において、避難経路の確保は生命に直結する最優先事項だが、その安全管理体制には致命的な隙があったといえる。

中国の老人ホームにおける安全対策と高齢化社会の課題

「芳華頤養」は2019年に設立され、自立、準介助、および全介助を必要とする高齢者を幅広く受け入れ、生活支援から医療リハビリ看護まで網羅的なサービスを提供していた。しかし、今回のような事故が起きたことは、過去の行政罰による是正勧告が現場の安全管理に十分に反映されていなかった可能性を浮き彫りにしている。

中国では近年、急速な高齢化に伴い、民間の老人ホームが急増している。これを受け、政府は消防設備や避難訓練に関する規制を強化しているが、一部の施設ではコストや利便性を優先し、安全対策が形骸化している実態が指摘されている。今回の火災を受け、建華区は事故処理の専任チームを設立し、負傷者の治療支援を継続するとともに、過去の安全不備が被害拡大にどのように影響したかを含め、火災の具体的な原因についてさらなる調査を進めている。当局による今後の調査結果は、全国の老人ホームにおける消防安全の再点検を促す重要な契機となるだろう。

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