パナマ最高裁が長和の港湾契約を違憲と裁定、中国は「米国に媚び」と猛反発

パナマ最高裁の違憲裁定とマースクへの運営移管

パナマ最高裁判所は2026年1月29日、香港の大富豪・李嘉誠氏が率いる長江和記実業(長和、CKハチソン)傘下のパナマ・ポーツ社(PPC)が保有するパナマ運河の両端の2港(バルボア港、クリストバル港)の特許経営権について、違憲であり無効であるとの裁定を下した。同裁判所は、契約内容に長和側を「過度に優遇する」条項が含まれており、排他的な特権や免税措置を与えていることが憲法に違反すると指摘した。

これを受け、パナマ海事局はデンマークの海運大手APモラー・マースク傘下のAPMターミナルズをこれら2港の「暫定管理者」に指名し、運営を移管した。長和傘下のPPCは1997年から同港を運営し、2021年には自動更新条項に基づき2047年までの契約延長が認められていたが、今回の司法判断によりその法的基盤が失われた。

中国政府の警告と「覇権」への批判

中国国務院港澳事務弁公室は2026年2月3日、署名記事を発表してパナマ当局を激しく非難した。同弁公室は、今回の裁定が「事実を無視し、信義に背く(背信棄義)」ものであり、香港企業の合法的な権益を深刻に損なうと主張している。さらに、パナマ当局が米国の「覇権」に膝を屈し、媚(こ)びを売った結果であると断じた。

同弁公室は、パナマ当局が独断専行を続ければ「政治・経済の両面で必ず重い代償を払うことになる」と異例の警告を行っている。外交部の郭嘉昆報道官も、中国企業の正当な権益を守るため一切の必要措置を講じると表明した。また、香港特区政府も強い不満と反対を表明し、香港企業に対し現地への投資を慎重に検討するよう呼びかけている。

トランプ氏の主張と長和による国際仲裁

米国のトランプ大統領は、長和が運営していた運河の両拠点を北京が実質的に支配していると名指しで非難し、米国がパナマ運河を「取り戻すべきだ」と主張していた。米下院「中国共産党との戦略的競争に関する特別委員会」のジョン・ムルーナー委員長も、今回の裁定を「米国の大きな勝利」と歓迎している。

こうした動きに対し、長和は2026年2月4日、取締役会がパナマの裁定に強く反対する公告を出した。傘下のPPCは2月3日付で、国際商工会議所(ICC)の仲裁規則に基づき、パナマ共和国を相手取った国際仲裁の手続きを開始した。長和側は、今回の裁定が関連する法的枠組みや契約承認時の法律と一致しないとの立場をとり、国内および国際的な法的プロセスに訴える一切の権利を留保するとしている。

今回の運営権取り消しは、長和がブラックロックなどのコンソーシアムと進めている230億ドル規模の港湾資産売却計画にも大きな影響を及ぼす恐れがある。

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