
中国の最高人民法院(最高裁)は2026年1月29日、ミャンマー北部コーガン地区を拠点に巨大な犯罪組織を構築した「明家犯罪集団」の首謀者、明国平、明珍珍ら11人に対し、死刑を執行した。浙江省温州市中級人民法院が一審で下した死刑判決に対し、被告側は控訴していたが、浙江省高級人民法院がこれを棄却し、最高裁が最終的に認可した。
巨大詐欺園区「明家犯罪集団」の凄惨な犯罪実態
判決によると、明家犯罪集団は2015年以降、ミャンマー北部のコーガン地区にあるラオカイ、石園子、清水河などの地域に複数の「園区(パーク)」を設立した。これらは武装組織の保護下にある治外法権的な拠点で、複数の「金主(スポンサー)」を招致して組織的な電信ネットワーク詐欺やカジノ運営を大規模に展開していた。
その経済的被害は極めて大きく、詐欺や賭博に関連した資金は100億人民元(約2,100億円以上)を突破している。さらに、同集団は他グループと結託して、詐欺に関わった者への故意殺人、故意傷害、不法拘禁を繰り返した。これにより、中国市民14人が死亡し、多数が負傷したことが確認されている。裁判所は、これらの罪行が極めて重大であり、社会的な危害も甚大であると認定した。
崩壊した「四大家族」と法執行の強化
明家犯罪集団は、コーガン地区で絶大な権勢を誇った「四大家族」の一つとされている。2021年のミャンマー軍事クーデター以降、国境地帯では中国犯罪組織と地元民兵が結託した大規模なオンライン詐欺センターが蔓延し、多くの中国市民が標的となっていた。中国公安当局は2023年11月に明家一族を公開指名手配し、ミャンマー側の協力により身柄を確保、中国へ移送していた。
今回の死刑執行は、東南アジア全域で横行するオンライン詐欺や越境犯罪に対し、中国政府が法執行の姿勢を鮮明にしたものと言える。実際に中国は、タイ、ミャンマー、カンボジアといった隣国との司法協力を強化しており、これまでに数万人の容疑者が中国へ強制送還されている。
構造化される越境犯罪掃討の国際ネットワーク
専門家によれば、ミャンマー軍事政権は当初、同盟関係にある民兵が支配するこれらの犯罪ネットワークを、国境管理の代償として放置していた側面がある。しかし、自国市民が被害に遭っている状況に不満を抱く中国当局から強い圧力を受け、軍事政権も摘発への協力を進めている。
今月初めには、カンボジアから大規模な詐欺に関与した疑いのある富豪が送還され、昨年11月にはタイからも重要容疑者が中国へ引き渡された。明家犯罪集団への死刑執行は、こうした国際的な包囲網と、犯罪の首謀者に対する厳格な司法的処置を象徴する結果となった。本事件では、死刑が執行された11人以外にも、5人が執行猶予付きの死刑、23人が5年から無期懲役の判決を受けている。
[出典]
- [1] 緬北明氏家族詐騙殺人販毒案 11人執行死刑 | 中央社
- [2] 緬北明家犯罪集團案 明國平明珍珍等11名罪犯被執行死刑 | 東網
- [3] 緬北明家犯罪集團案明國平明珍珍等11名罪犯被執行死刑 | 星島頭條
- [4] 中國大陸新聞首頁 | 香港01
- [5] 中国对缅北明家犯罪集团11人执行死刑 | RFI
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