英首相スターマーが8年ぶり訪中:対米「グリーンランド摩擦」背景に中国と再接近、米国依存脱却への戦略的転換

英首相、8年ぶりの訪中で「氷河期」脱却へ:巨大経済代表団が随行

英国のキア・スターマー首相が2026年1月28日夕刻、北京首都国際空港に到着し、4日間にわたる中国公式訪中を開始した。英国首脳の訪中は2018年以来、実に8年ぶりとなる歴史的な節目である。空港では中国の藍仏安財政部長が出迎え、最近の北京が欧州要人に対して用いる高い格式の接遇でスターマー首相を歓迎した。

今回の訪中には、金融、医薬、製造業、文化クリエイティブなど英国の強みを代表する50〜60社の巨大企業幹部や機関代表が随行している。スターマー首相は29日、習近平国家主席および李強総理と相次いで会談し、停滞していた中英間の「ビジネス対話メカニズム」の復活を目指す方針だ。具体的には、医療、生命科学、気候変動対策といった分野での協力に加え、短期滞在ビザの免除拡大や、英国産ウイスキーに対する中国側の関税引き下げなどが主要な交渉の焦点となっている。

英国政府は訪問に先立ち、ロンドン市内での中国大使館建設を正式承認するなど、対話再開に向けた環境整備を進めてきた。一方で、英国が中国企業11社に対してロシア支援を理由とした制裁を科すなど、外交摩擦は依然として残っている。しかしスターマー首相は機内での会見で、「世界第2位の経済体がもたらす機会を無視することは無意味であり、関与は英国の国家利益にかなう」と述べ、経済優先の「務実的(実務的)」な姿勢を明確にしている。

米国リスクと「グリーンランド摩擦」:単一依存からの脱却を模索する英国

今回の訪中の背後には、米国のトランプ政権との間に生じている深刻な外交的緊張がある。現在、トランプ大統領が言及した「グリーンランド取得」への関心に対し、英国を含む欧州諸国が強く反発しており、米欧関係には「グリーンランド摩擦」と呼ばれる暗雲が垂れ込めている。

こうした地政学的変化を受け、中国政府の主要シンクタンクである中国社会科学院ヨーロッパ研究所の馮仲平所長は、今回のスターマー首相の訪中を「欧州による対米単一依存からの脱却」を象徴する動きであると分析している。馮氏は、米国第一主義を掲げるトランプ政権下での予測不能な政策リスクをヘッジするため、英国は米国への過度な依存を避け、中国との間で独自のバランスの取れた協力関係を築き直そうとしていると指摘した。

スターマー首相自身は、米国との長年の協力関係を維持しつつ中国との経済的結びつきを強めることは可能であり、トランプ氏を激怒させることなく国益を追求できると自信を示している。しかし、英国内の経済環境は厳しく、在中英企業の58%が「事業環境は前年より悪化」と回答している現状もあり、今回の訪中でどこまで具体的な成果を引き出せるかが焦点となる。

雇用37万人を支える対中貿易:人権問題と経済実益の狭間で

英国にとって中国は第3位の貿易相手国であり、英国内で約37万人もの雇用を支える不可欠なパートナーである。スターマー首相は、国家安全保障上の懸念や黎智英(ジミー・ライ)氏に関連する人権問題について「目を逸らすわけではない」としつつも、分極化する問題があるからこそ「積極的な対話が必要である」と主張している。

今後、スターマー首相は北京での公式会談を終えた後、上海へ移動し中英企業間の交流イベントに出席する予定だ。2026年の中英企業家委員会会議にはすでに100社以上の申し込みがあり、ビジネス界の期待は極めて高い。

北京では英大使館の給水を巡る圧力疑惑といった小規模なトラブルも報じられているが、英国政府の視線はより長期的な戦略に向いている。今回の4日間の日程を通じて、中英関係を「黄金時代」に代わる新たな安定の軌道に乗せられるか、世界がその一挙手一投足を注視している。

[出典]

[関連情報]

#英首相 #訪中2026 #スターマー #習近平 #対米依存脱却 #米国リスク

タイトルとURLをコピーしました