紫金鉱業が40億ドルで加アライド・ゴールドを買収へ:加速する中国の金資源戦略と米国の警戒感

紫金鉱業による巨額買収の背景:歴史的な金高騰と世界一への野心

中国の鉱業大手、紫金鉱業集団(本社:福建省龍岩市上杭県)は2026年1月27日、持株子会社の紫金黄金を通じて、カナダの産金企業アライド・ゴールド(Allied Gold Corporation)を約40億米ドル(約6143億円)で買収すると発表した。買収は1株あたり44カナダドルの現金で行われ、総額は約55億カナダドルに達する。金価格が歴史的な高騰を続ける中、紫金鉱業はこの巨額投資により、アフリカを中心とした優良な金資源ポートフォリオの劇的な強化を図る。

アライド・ゴールド社はカナダに籍を置くが、その核心資産は西アフリカに集中している。マリ共和国のサディオラ(Sadiola)金山、コートジボワールの金山コンプレックス(ボニクロおよびアグバオ金山)といった稼働中の資産に加え、2026年下半期にはエチオピアのクルムク(Kurmuk)プロジェクトが操業を開始する予定だ。2024年末時点で同社が保有する金資源量は約533トンに上り、平均品位も1.48g/tと極めて高い水準にある。紫金鉱業はこの買収により、2028年までに年間金生産量を100トンから110トンに引き上げるという中期目標を前倒しで達成する見通しだ。

加速する資源ポートフォリオの多角化と圧倒的な収益力

紫金鉱業の鄒来昌会長は2026年の年頭所感において、金と銅を重点開発種としつつ、世界的な競争力を持つリチウム部門を構築する戦略を掲げた。同社は2024年にガーナのアキム金山を買収しており、今回のアライド社買収は、西アフリカの重要な金鉱床地帯における支配力をさらに強める「協同効果」を狙ったものだ。

同社の経営指標は驚異的な成長を示している。2025年度の純利益は、前年比約6割増の510億〜520億人民元(約1兆1260億円超)に達する見込みだ。これは産金量の23%増加に加え、カーボンニュートラル需要を背景とした炭酸リチウム生産量が2024年度の261トンから2.5万トンへと激増したことが大きく寄与している。今回の買収は、潤沢なキャッシュフローを背景に、開発の余地が大きくかつ資源が豊富な「未開拓地域」へ果敢に投資する同社の攻めの姿勢を象徴している。

米議会の強い警戒感と地政学的リスクの浮上

しかし、この買収劇は単なる企業間の取引に留まらず、地政学的な摩擦を引き起こしている。2026年1月28日、米連邦議会下院の「中国共産党に関する特別委員会」は、SNSを通じて本件に対する強い懸念を表明した。同委員会は「中国は一貫して影響力の拡大を模索しており、西半球の資産に対する支配権を強めている」と指摘。米国の安全保障上の観点から、中国資本による重要資源の独占に警鐘を鳴らした。

買収の成立には、カナダ投資法(ICA)に基づくカナダ当局の審査に加え、中国の国家発展改革委員会や商務部、香港証券取引所などの承認が必要となる。資源ナショナリズムが世界的に台頭する中、カナダ政府が中国資本による自国企業の買収をどのように判断するか、また米国の圧力が審査にどう影響するかが今後の焦点となる。金価格の変動のみならず、米中対立という巨大な不透明要素が、紫金鉱業の「世界一への道」に影を落としている。

[出典]

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