
軍首脳陣の相次ぐ不在が示す異常事態
中国共産党の「省部級主要指導幹部、党第20期中央委員会第4回全体会議精神学習貫徹特別研修クラス」が2026年1月20日午前、北京の中央党校(国家行政学院)で開講した。習近平総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)が重要講話を発表したこの会議は、党の進むべき指針を全土の指導層に周知する極めて重要な場である。しかし、中国官営メディア(CCTV)が報じたニュース番組「新聞聯播」の映像により、党中央政治局委員である4人の重鎮が欠席していることが判明した。
欠席したのは、中央軍事委員会副主席の張又侠氏、中央組織部長の石泰峰氏、前新疆ウイグル自治区党委書記の馬興瑞氏、および国務院副総理の何立峰氏である。何立峰氏については世界経済フォーラム(ダボス会議)出席のためスイスを訪問中という明確な理由があるが、他の3人、特に軍制服組トップである張又侠氏の欠席理由は一切明かされていない。さらに、軍の実務を取り仕切る中央軍事委員会委員兼統合参謀部参謀長の劉振立氏も姿を消しており、軍中枢部での「異変」はもはや確定的と見られている。
張又侠氏の動静途絶と「軍軍紀委」の動向
張又侠氏の失脚説を裏付ける有力な証拠の一つが、会議における座席配置の変更である。映像では、本来政治局委員が座るべき壇下1列目の席に張又侠氏の姿はなく、代わりに政治局委員ではない張升民氏(中央軍事委員会紀律検査委員会書記)が着席していた。張升民氏は、軍内の汚職摘発を指揮する「軍の番人」である。
張又侠氏の動静は、2025年12月22日の上将昇進儀式を最後に途絶えている。特筆すべきは、2026年1月16日に開催された[中国共産党中央軍事委員会紀律検査委員会拡大会議]に張升民氏が出席して演説した一方で、その直属の上司にあたる張又侠氏が現れなかった点だ。かつて張又侠氏と並んで副主席を務めた何衛東氏が2025年にすでに失脚していることを踏まえれば、張又侠氏も同様の運命を辿っている可能性が極めて高い。
繰り返される大粛清と習近平氏の政策意図
習近平氏による軍の「反腐敗」を名目とした粛清は、2024年末から2025年にかけて加速の一途を辿っている。2024年12月の上将昇進儀式には20人の将官が出席していたのに対し、2025年12月にはわずか4人にまで激減しており、軍上層部が根底から入れ替えられている実態が浮き彫りとなった。
背景には、習近平氏による軍の完全掌握への執念がある。一部の報道では、2025年12月にネット上で拡散された、張又侠氏に「軍事クーデター」を促す公開書簡が今回の引き金になったとの見方もある。長年の盟友とされてきた張又侠氏を標的にしたのは、軍内に残る独自の勢力を一掃し、自身の絶対的な権力基盤を揺るぎないものにするための「刮骨療毒(骨を削って毒を除く)」の断行と推測される。張又侠氏の息子も連座して拘束されたとの情報もあり、中南海の内部では、1976年の文革終焉以来とも言われる激しい権力闘争が展開されている。
[出典]
[関連情報]
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