
2026年1月、中国大陸の広範囲で深刻な霧霾(スモッグ)が発生し、市民の健康と日常生活を脅かしている。スイスの空気質技術企業IQAirの統計によると、1月17日午後6時時点で、重慶、武漢、成都、杭州、上海、広州の6つの巨大都市が、世界の大気汚染ワースト15位以内にランクインした。これらの都市はいずれも人口1000万人を超える規模であり、広範囲な地域で「健康に良くない(不健康)」とされるAQI(大気質指数)150〜200を記録している。特に主要な汚染物質である微小粒子状物質(PM2.5)の濃度は、世界保健機関(WHO)が定める年間平均指針値の10倍以上に達しており、極めて危機的な状況だ。
四川盆地に滞留するスモッグと噴出する民意
今回の汚染プロセスにおいて、特に四川省成都市の状況は際立って深刻である。成都では1月8日から10日以上にわたり「非常に不健康」な状態が継続しており、IQAirのランキングで世界首位の汚染度を複数回記録した。成都を含む四川盆地は地形的に汚染物質が拡散しにくく、長引く視界不良と喉の痛みなどの健康被害に対し、SNS上では市民の不満が爆発している。成都市の市民ホットラインには空気質改善を求める苦情が殺到しており、当局への不信感が高まっている。
また、東部の経済拠点である上海でも、1月16日にAQIが200を超える「極めて健康に良くない」状態を観測した。一時はインドのデリーを抜き、世界で2番目に汚染された都市として報じられるなど、沿岸部においても大気汚染対策が機能不全に陥っている実態が浮き彫りとなった。こうした状況は、北京・天津・河北で大気汚染が発生し、緊急対策が始動している北部の状況とも連動しており、中国全土が厚い灰色の霧に包まれている。
汚染のメカニズムと政策意図の乖離
冬期に大気汚染が激化する背景には、構造的な要因と気象条件の悪化がある。まず、暖房シーズンに伴う石炭燃焼の増加と、電力、鉄鋼、化学などの産業活動による排出がベースとなっている。これに加えて、冬期特有の「気温逆転現象」が追い打ちをかける。地表付近の冷たい空気が上空の暖かい空気によって蓋をされる形となり、汚染物質が地表付近に停滞・蓄積されるのである。さらに、北京で30時間の大気汚染が観測された際と同様に、高湿度環境下での二次エアロゾルの形成が汚染をさらに加速させている。
一方で、中国政府の姿勢には現場との温度差が見られる。中国生態環境部は同時期に開催した工作会議において、昨年の空気質は改善し続けており「青空が常態化した」と成果を強調した。しかし、春節含む3日間で大気汚染が激化することが予想される中で、発表された公式見解と目の前のスモッグという現実は大きく乖離している。政府としては経済成長を維持するために工場の稼働を優先したい意図があるものの、市民の健康被害とそれに伴う社会的コストは無視できないレベルに達している。
大気汚染の厳しい状況は1月19日ごろまで続く見通しだ。専門家は、不要不急の外出を避けるとともに、外出時にはKN95やFFP2規格の高性能マスクを着用し、室内では空気清浄機を最大稼働させるなどの自己防衛策を推奨している。
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