
2026年1月18日午後3時3分ごろ、中国内モンゴル自治区包頭(パオトゥー)市九原区爾甲亥村に位置する大手鉄鋼メーカー、包鋼集団(包頭鋼鉄集団)傘下の「包鋼稀土鋼板材工場」で大規模な爆発事故が発生した。内モンゴル自治区および包頭市当局の最新発表によれば、19日朝までに2人の死亡が確認され、8人が行方不明、84人が負傷して入院治療を受けている。負傷者のうち5人は重症だが、全員のバイタルサインは安定しているという。
爆発の原因は、製鋼作業部に設置されていた容積650立方メートルの高圧蒸気タンク(飽和水・蒸気貯槽)の破損とみられている。爆発の威力は凄まじく、現場周辺では激しい揺れとともに巨大なキノコ雲が立ち上がり、工場から半径5キロメートル圏内にある多くの民家で窓ガラスが粉砕されるなどの甚大な物的被害が出た。
資源戦略の核「レアアース鋼」生産拠点での悲劇
今回事故が起きた「包鋼稀土鋼板材工場」は、包鋼集団の基幹事業である鉄鋼とレアアース(希土類)を融合させた高性能鋼材の生産拠点であった。包鋼集団は、世界最大級のレアアース埋蔵量を誇る白雲鄂博(バヤンオボ)鉱山の採掘権を独占的に保有しており、この資源的優位性を背景に「レアアース鋼」のブランド化を強力に推進してきた。
レアアース鋼は、溶融した鉄に微量のレアアースを添加することで、通常の鋼材よりも極めて高い強度、耐食性、耐摩耗性を実現する高付加価値製品である。自動車用の高張力鋼板や軍事、宇宙航空分野など、中国の国家戦略に直結する先端産業での活用が期待されていた。今回の事故は、同社が進める高付加価値化戦略の物理的拠点に大きな打撃を与えただけでなく、高度な技術管理が求められる特殊鋼生産ラインにおける安全管理体制の脆弱性を露呈する形となった。
国家指導部が注視する安全管理と政治的背景
事故発生後、内モンゴル自治区の王偉中党委員会書記や包鋼自治区政府主席ら党政のトップが即座に現場入りし、救助活動を直接指揮した。中国では近年、大規模な産業事故が発生した際、地方政府の最高責任者が現場に赴くことが義務付けられており、特に今回の包鋼集団のような重要国有企業での事故は、政治的な責任問題へと発展しやすい。
実際、包頭市当局は事故発生から24時間以内に記者会見を開き、公安機関が法律に基づき、すでに工場の責任者に対して強制措置を講じたことを明らかにした。自治区側も事故調査チームを設立し、職務怠慢や安全対策の不備があった者に対しては「絶不姑息(決して容赦しない)」という強い姿勢で厳正に追及する方針を打ち出している。
中国政府は現在、製造業の高度化(「製造強国」戦略)を推進する一方で、生産現場の安全確保を国家安全保障の一環と位置づけている。特に、高圧容器や化学物質を扱う重工業地帯では、相次ぐ事故を受けて安全基準の見直しやデジタル技術を用いた監視体制の強化が進められてきた。それにもかかわらず、国内屈指の鉄鋼大手でこのような大規模爆発が起きたことは、現場レベルでの安全対策の徹底がいかに困難であるかを物語っている。
現在、事故のあった工場は全面的に生産を停止しているが、市内全域のインフラ供給(電力、水道、ガス、暖房)への影響は最小限に抑えられている。消防や公安による行方不明者8人の捜索は今も続いており、被害規模がさらに拡大する懸念も残されている。
[出典]
- 内蒙包頭稀土鋼板廠大爆炸 2死8失聯84人送院|有片 – 星島頭條
- 內蒙古包頭板材廠發生爆炸 2死5失聯66人送醫|有片 – 香港01
- 包頭稀土鋼板廠爆炸2死5失聯66傷 內蒙高官齊赴救災 – 聯合新聞網
- 內蒙古包頭爆炸事故 已致2人死亡5人失聯 – 中時新聞網
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