
米、対中半導体関税27年実施へ 中国は猛反発
米国政府は23日、中国から輸入される半導体製品への関税上乗せを2027年6月23日から実施することを正式に決定した。これに対し中国外交部の林剣報道官は24日、北京で開かれた定例記者会見にて「米国のやり方は世界のサプライチェーン(供給網)を乱し、他人も自分も傷つける行為だ」と厳しく非難し、正当な権益を守るための報復措置を辞さない構えを鮮明にした。台湾の聯合報などが報じている。
今回の措置は、米国貿易代表部(USTR)がバイデン前政権下から約1年にわたり進めてきた「通商法301条」に基づく調査を完了したことを受けてのものだ。USTRは調査結果の中で、中国政府が巨額の補助金や非市場的な政策を用いて自国産業を優遇し、世界の半導体市場で主導権を握ろうとする試みは、公正な競争を著しく妨げる「不当かつ差別的な慣行」であると断定した。なお、具体的な上乗せ関税率については、実施の30日前までに公表される予定となっている。
国家安全保障と「18カ月の猶予」に隠されたトランプ戦略
トランプ大統領は、今回の関税措置について「国家安全保障の強化に不可欠であり、緊急を要する課題だ」と繰り返し強調している。しかし、その主張とは裏腹に、実際の関税発動には18カ月という異例の猶予期間が設けられた。この一見矛盾する判断の背後には、緻密な経済・外交戦略が隠されていると専門家は分析する。
第一の狙いは、米国内の急激な物価上昇(インフレ)の抑制と、サプライチェーンの混乱回避だ。即時の関税発動は、中国製チップに依存する米製造業にパニックを引き起こしかねない。猶予期間を設けることで、企業に対し代替の調達先を見つけるための「適応期間」を与えた形だ。
第二に、この猶予そのものが強力な「外交カード」として機能する点だ。現在進行中の中米通商交渉において、発動までのカウントダウンを突きつけることで、中国側から貿易バランスの是正や知的財産権保護に関する大幅な譲歩を引き出す狙いがある。トランプ政権にとって、関税は単なる経済制裁ではなく、交渉を有利に進めるための最強の武器なのである。
アップルやテスラを直撃する「770億ドル」の返り血
今回の制裁措置における最大のリスクは、米国企業が被る甚大な被害だ。2024年における中国の半導体輸出額は全体で460億ドルに達するが、そのうち米国への直接輸出は22億ドル程度に過ぎない。この数字だけを見れば影響は軽微に思えるが、実態はより深刻だ。
情報技術・イノベーション財団(ITIF)の試算によれば、中国製チップに対する本格的な制裁が発動された場合、米国企業の損失は最大で770億ドル(約11兆円)に達する可能性がある。これは、アップルやテスラといった米ハイテク大手が、自社製品の電源管理や通信制御、車載システムに不可欠な「汎用半導体(レガシーチップ)」の供給を中国に深く依存しているためだ。
たとえ「頭脳」となる最先端チップを自国や台湾で確保できたとしても、安価な周辺チップが一つ欠けるだけで、iPhoneや電気自動車(EV)は完成しない。東南アジア諸国を経由して輸入されるコンポーネントにも中国製チップは組み込まれており、関税という「諸刃の剣」による経済的打撃、いわゆる返り血の大きさは計り知れない。林報道官が「他人も自分も傷つける」と表現したのは、まさにこの相互依存の構造を突いたものと言える。
2027年に向けた米中ハイテク博弈の行方
中国側は、今回の米国の決定を「保護主義の極み」と断じ、米国の誤ったやり方を速やかに是正するよう強く求めている。一方で、中国もレアアース(希土類)の輸出規制を強化するなど、対抗措置を順次発動しており、報復の連鎖が懸念されている。
2027年6月の発動期限に向け、米中両国は今後、ハイテク分野での主導権を懸けた激しい「博弈(はくえき、高度な駆け引き)」を展開することになる。企業の調達戦略、政府間の交渉、そして次世代技術の標準化争いを含め、半導体を巡る対立は、21世紀の国際秩序を決定づける最大の焦点であり続けるだろう。
[出典]
- 美國2027年6月起擬對中國晶片加徵關稅 北京揚言反制 – 中央通訊社 (CNA)
- 美國宣布2027年6月起對中國晶片加徵關稅 外交部促美方盡快糾正錯誤做法 – 星島頭條 (Sing Tao)
- 美国对中国芯片加征关税 中国外交部:损人害己 – 法国国际广播电台 (RFI)
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