
PDD職員と当局係官が衝突 虚偽配送の調査が発端
格安通販アプリの「Temu」を傘下に置く中国電子商取引(EC)大手の「※(てへんに并)多多」(PDD、ピンドゥオドゥオ、上海市)を巡り、同社職員と国家市場監督管理総局の係官との間で衝突が発生していたことが明らかになった。衝突は2025年12月3日、上海市内のPDD本社オフィスで起きた。
市場監督当局の係官は、プラットフォーム上で実際には商品を発送せず、発送済みと表示する不正行為が行われているとの通報を受け、立ち入り検査を実施していたとされる。複数の中国・台湾・香港メディアによると、調査の過程でPDDの複数の社員や幹部が当局係員と小競り合いとなり、当局側が警察に通報した。
上海市長寧区の警察は、公務執行妨害の疑いでPDD社員を行政拘留を含む処分とした。事件後、PDDは社内処分に踏み切り、2025年12月16日までに社員数十人を解雇したとされる。解雇された社員の一部は「当日は上海にいなかった」と主張し、自身が責任転嫁の対象にされたと反発している。
この問題がネット上で拡散した2025年12月10日以降、PDDの株価は米市場で一時2%超下落した。国家市場監督管理総局とPDDはいずれも、2025年12月18日時点で公式なコメントを出していない。
虚偽配送とは何か 中国ECで問題視される不正行為
虚偽配送とは、ECプラットフォームにおいて、実際には商品を発送していないにもかかわらず、発送済みと表示する不正行為を指す。無効な配送番号や、注文と無関係な伝票番号を登録し、形式上の発送を装うケースが典型例とされる。
中国では、こうした行為は取引実績や販売件数を水増しする不正と結び付く問題として、当局やプラットフォーム運営側が重点的に取り締まってきた。特に大型セール期間や急成長中のプラットフォームでは、管理体制が追い付かず、不正行為が温存されやすいとの指摘もある。
Temu急成長と強まる規制当局の監視
PDDは中国国内向けEC「ピンドゥオドゥオ」を中核とする一方、海外では越境ECプラットフォーム「Temu」を展開している。Temuは北米や欧州を中心に急成長し、低価格商品を大量に販売するビジネスモデルで存在感を高めてきた。
一方で、物流の実態や表示の正確性、販売手法を巡り、各国の規制当局による監視は強まっている。欧州ではEU当局がTemu欧州拠点を抜き打ち検査するなど、規制環境は一段と厳しさを増している。今回、中国国内で浮上した虚偽配送を巡る問題は、PDDの内部管理や統治体制の信頼性が、海外事業にも影響を及ぼしかねないことを示唆している。
[出典]
・中央社(CNA)
https://www.cna.com.tw/news/acn/202512183001.aspx
・香港01
https://www.hk01.com/article/60304438
・聯合報
https://udn.com/news/story/7333/9196801
[関連情報]
・EUがTemu欧州本部を抜き打ち検査 中国補助金疑惑と低価格輸入急増で監視強化
・格安通販Temuの業者が抗議活動 多額の罰金に反発

