
中央経済工作会議が示した内需主導と政策継続の意味
中国は12月10日から11日にかけて北京で中央経済工作会議を開催し、2026年の経済運営方針を定めた。2026年は「第十五次五カ年計画(2026~2030年)」の初年度に当たり、今回の会議は今後数年の経済政策の方向性を占う重要な位置付けとなった。会議は、内需主導を柱とする8項目の重点任務を掲げ、より積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策を継続する方針を明確にした。
政策基調は継続、不動産と地方債に警戒
会議は現下の経済情勢について、外部環境の変化による影響が深まり、国内では供給過剰と需要不足の矛盾が依然として目立つと指摘した。とりわけ、不動産市場と地方政府債務は引き続き主要なリスク要因と位置付けられた。一方で、これらは発展段階や構造転換に伴う問題であり、中国経済が長期的に好転する基礎条件と基本的趨勢は変わっていないとの認識も示された。
財政・金融政策については、昨年に打ち出した「より積極的な財政政策」「適度に緩和的な金融政策」を「引き続き実施する」と明記した点が特徴だ。政策の大枠を維持する姿勢は、当局が現状を深刻な危機局面とは捉えておらず、急激な政策転換を必要としていないことを示唆している。
内需主導を最優先、消費と投資の両輪
8項目の重点任務の中で、最優先に位置付けられたのが「内需主導」である。具体策として、消費振興の特別行動の実施、都市・農村住民の所得増加計画の策定、設備更新や消費財買い替え政策の最適化が挙げられた。また、投資の下げ止まりと安定回復を図るため、中央予算内投資の拡大や民間投資の活性化、高品質な都市再開発を進める方針も示された。
輸出環境の先行きが不透明な中、成長の主軸を内需、とりわけ消費と投資に置く姿勢が一段と鮮明になった形だ。
対外開放と国際経済摩擦への備え
対外面では、サービス分野の自主的開放の拡大、海南自由貿易港の建設、「一帯一路」の高品質な共同建設、地域・二国間の貿易投資協定の推進を掲げた。同時に、今年の会議では「国内経済運営と国際経済・貿易を巡る闘争をより適切に統合する」との表現が盛り込まれ、米国を中心とする通商摩擦を意識した政策運営が続くことも示唆された。
さらに、「逆周期調整」とともに中長期を視野に入れた「跨周期調整」を強調した点は、短期の景気下支えと並行して、構造改革や長期成長を重視する姿勢を映している。
2026年成長率を巡る見方は分かれる
専門家の間では、十五五計画の初年度という政治的・政策的背景から、2026年の国内総生産(GDP)成長率目標は5%前後に設定される可能性が高いとの見方がある。一方、外資系金融機関の多くは、不動産調整や投資減速を理由に4%台半ばと予測しており、先行きへの見方には幅がある。
中央経済工作会議が示したのは、政策の連続性を保ちながら、内需主導で経済の安定と中長期的発展を両立させようとする姿勢だ。2026年は、中国経済が短期的な調整局面から、次の成長段階へ移行できるかどうかを占う試金石となりそうだ。

