吉林で2人殺害の男逮捕 “9人殺害”のネット情報で地域に不安

吉林省で住民2人殺害の疑い SNSで“9人殺害”が流れ不安拡大

吉林省松原市の警察は12月4日、同市乾安県で住民2人を殺害した疑いにより34歳の男を逮捕したと発表した。警察は犯行の動機を含む詳細について「具体的な状況は明かせない」としており、捜査を続けている。
一方、インターネット上では「無差別に9人を殺害した」との未確認情報が広がり、地域では不安が高まっていた。中国本土メディアの《大河報》《極目新聞》などが一連の経過を報じた。

男は12月1日と2日、松原市の長嶺県と通榆県で住民2人を殺害した疑いがある。警察は犯行後の逃走を確認し、特徴を記した協力要請文書を公表して捜索を進めた。


■長嶺県公安局が2件の殺害を発表 事件は連続性を持つと判断

長嶺県公安局によると、12月1日、長嶺鎮で住民1人が死亡する事件が発生。捜査の結果、34歳の姚姓の男を容疑者として特定した。翌2日には隣接する通榆県で再び1人が死亡し、警察は両事件を同一人物による連続殺人と判断した。

協力要請文書では、容疑者の特徴が詳細に示されている。中肉で身長は165〜170センチ前後、黒色の中長髪、やや黒い肌の四角い顔立ちで、黒い上着と黒いズボン、運動靴を着用していた。公安は地域の住民や関連部署に対し、発見時の速やかな通報を求めていた。

また、記者が中国裁判文書網を調べたところ、容疑者と生年月日が一致する人物が過去5回服役していた事実が確認された。罪名は窃盗や強盗などで、今年5月に刑期を終えたばかりだった。


■潜伏中の男を村民が発見 麦わらの山の裏で身を縮めるように隠れる

男が逮捕されたのは、事件現場から離れた乾安県の農村部だった。放馬村の住民は《大河報》の取材に対し、潜伏中の男を偶然発見した経緯を語った。

「麦わらの山の後ろにしゃがんで隠れていた。こちらが気づくと、すぐに身を縮めたので、急いで通報した」

現場周辺では、男が落としたとみられる靴が残されており、警察官と住民が協力して容疑者を取り押さえる様子が映像にも記録されている。《極目新聞》によると、乾安県の派出所担当者は「逮捕は午後3時前後で、詳細は明かせない」と説明した。

地域の住民にとっては、SNSで流れた「9人殺害」の噂が不安を増幅させていた背景がある。実際の被害者数は2人であるものの、警察が連日通報を呼びかけたこともあり、地域一帯で警戒が続いていた。


■再犯リスクと社会不安 中国で相次ぐ凶悪事件との関連

容疑者が過去に複数回の服役歴を持ち、出所後半年で再び重大事件を起こした点は、中国国内で議論を呼ぶ可能性がある。同様の凶悪事件は各地で発生しており、社会的緊張が高まっている。

たとえば、広西柳州での隣人殺傷事件河北・河南での路上殺人事件、さらには香港で発生した有名女性モデル殺害事件などは、家庭内トラブル、隣人関係、金銭問題などの積み重ねが背景にあるとされる。今回の吉林事件では動機が明らかでないものの、再犯防止策や出所者の社会管理をめぐる議論が再燃する可能性がある。

[関連情報]


広西柳州で隣人殺傷事件
河北と河南で路上殺人、4人死亡
香港モデル遺体事件

[出典]

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