中国製の工作用カラーサンドからアスベスト 豪・NZで100校超が閉鎖 輸入規制強化へ

豪州とニュージーランドで、中国から輸入された**中国製の工作用の着色砂(カラーサンド)から石綿(アスベスト)が検出され、広範囲で学校が閉鎖される事態となった。ニュージーランド教育省は、複数ロットのカラーサンドから温石綿(クリソタイル)**が確認されたと明らかにし、40校と日中ケア施設を緊急閉鎖した。

カラーサンドは図工・造形活動やサンドアートなど教育用途で広く使われ、家庭でもクラフト素材として普及している。ニュージーランドの職場安全監督機関 WorkSafe は「複数ロットのカラーサンドが汚染されていた」と説明し、全国的な追跡調査が続いている。

豪州では影響がさらに大きい。豪州競争・消費者委員会(ACCC)は、中国製カラーサンドを含む7製品から透閃石(トレモライト)を含む石綿を検出し、全国的なリコールを命じた。透閃石は強い発がん性を持つことで知られ、安全上の懸念が急速に拡大した。

これを受け、首都キャンベラ地域では70校以上が一斉閉鎖され、教室や教材の清掃と製品回収が進む。さらに南オーストラリア州では300校超から「カラーサンドを使用していた可能性」について問い合わせが寄せられており、影響は全国に広がっている。


豪州はカラーサンドの輸入規制を強化 「高リスク製品」に再分類

豪州国境警備隊(ABF)は今回の問題を受け、カラーサンドを**「高リスク製品」として再分類し、中国から輸入する際に石綿不検出証明の提出を義務化**する方針を発表した。これまでカラーサンドは「低リスク」扱いで、中国側での検査も豪州到着後の検査も不要だったことが、汚染品の流入を許す一因となった。

豪州では2003年に石綿の使用が全面禁止され、例外を除く輸入も厳格に制限されている。ABFは「今後は原産国での検査を義務化し、証明書がなければ輸入を認めない」と強調した。

豪州製品安全機関は「吸入可能なレベルの石綿繊維は検出されていないため、健康リスクは低い」と説明する。一方で「カラーサンドが粉砕された場合、石綿繊維が放出される可能性がある」と指摘し、扱いには注意が必要だとしている。


中国製造工程への懸念と国際的議論 サプライチェーン管理が焦点に

今回の汚染が確認されたカラーサンドは、いずれも中国で製造され、中国から豪州・NZに輸出された着色砂である。着色工程や原料段階での混入が疑われ、製造ラインの衛生・品質管理体制が国際的に問題視され始めている。

香港メディア(東網・明報)、台湾中央通信社、英国ガーディアン紙など複数の国際メディアも報じ、各国の輸入検査の在り方やサプライチェーンの透明性を巡る議論が広がっている。供給業者はすでに該当製品の撤去とリコール作業を進めており、販売店でも回収が急速に進む。


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