中国が日本への渡航・留学同時制限 日中関係の緊張拡大

中国政府は11月14~16日にかけて、日本への渡航と留学に関する警告を相次いで発出した。14日、中国外務省は日本国内で中国公民を狙った犯罪が多発し、治安が悪化しているとして当面の訪日自粛を勧告した。さらに16日、教育部は今年4回目の留学警告を公表し、日本の留学環境は安全リスクが高まっていると警鐘を鳴らした。同日、文化和旅遊部も日本旅行を控えるよう中国国内で強く注意喚起した。

これを受け、中国本土の航空会社は15日、日本路線の航空券について12月31日まで無料の払い戻し・変更に応じる特別措置を発表した。今後、日本便の削減や、東南アジア路線などへの運用移転が加速する可能性がある。

こうした動きが重なったことで、中日関係は短期間で急速に緊張した。中国官製メディアは日本政府の対外姿勢を批判し、同時に国内世論には「訪日回避」「日本製品の不買」などの声も広がりつつある。

発端は高市首相の「台湾有事」答弁 中国側は報復姿勢を強化

緊張の発端は、7日に高市早苗首相が国会で行った答弁だった。高市氏は「台湾有事が武力行使を伴う場合、日本が集団的自衛権を行使できる存立危機事態となり得る」と述べ、中国側の強い反発を招いた。

まず8日、中国駐大阪総領事の薛剣がSNSで高市首相への暴力を示唆する投稿を行い、日本国内の世論を刺激した。この余波の中、13日には中国外交部次官の孫衛東が金杉憲治・駐中国日本大使を呼び出して正式に抗議し、外交摩擦は一気に拡大した。

14日には中国国防省が「日本が台湾海峡に武力介入すれば耐え難い代価を支払う」と警告。中国官製メディアも「日本への報復措置の準備が整った」と伝え、圧力を高める構えを示している。

これら一連の経過については、

日本政府は撤回要求を拒否 レアアース規制など経済報復を警戒

日本政府は高市首相の答弁撤回を拒否したうえで、中国側のさらなる報復措置に警戒を強めている。中国は2010年に尖閣問題で稀土輸出を停止した前例があり、今回も同様の手段を採る可能性が否定できない。日本政府関係者は「日中関係は岐路に立っている」と述べ、今後の展開によっては経済面への影響が深刻化する可能性がある。

日本側は22~23日に南アフリカで開催されるG20首脳会議で、日中首脳の対話実現を模索しているが、外務省関係者は「現段階では不透明」としている。

出典

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