「軍国主義復活の危険」「台湾問題は中国の核心利益」
中国共産党機関紙・人民日報は17日、評論コラム「鐘声」で高市早苗首相の台湾関連発言を強く批判した。高市氏は国会で「台湾有事」が日本の集団的自衛権行使につながる「存亡危機事態」になり得ると述べ、台湾海峡への武力介入を示唆した。人民日報はこれを中国の内政への粗暴な干渉であり、戦後国際秩序への明白な挑戦と断定した。
同紙はさらに、「台湾有事は日本有事」という論調が日本政界に広がっていることを危険視し、中国の国家統一と日本の安全保障を結びつける動きだと非難した。外部勢力による台湾問題への干渉は一切受け入れられないと強調し、「台湾問題を利用して騒ぎを起こすのは自ら災いを招く」と日本側に警告した。
高市氏の発言をめぐる中国側の強硬姿勢は、外交部が日本大使を呼び出して抗議した一連の動きとも連動している。外交的緊張はすでに高まっており、関連の詳細は
➡ 高市首相の「台湾有事」発言に中国が激しく反発
で整理されている。
軍国主義の再来を強く示唆 「存亡危機事態」発言に中国が戦略的警戒
人民日報は記事の中で、日本軍国主義が歴史上「存亡の危機」を口実に侵略戦争を開始した事例を具体的に挙げた。1931年の満州事変では「自衛権行使」を名目に中国侵略を開始し、アジアに甚大な被害をもたらしたと指摘。高市氏が再び「存亡危機」を口にした点について、「日本が軍国主義の覆轍を踏む恐れが十分に存在する」と強い警戒を示した。
今年は台湾光復80周年に当たるが、日本側が過去を反省せず台湾問題で新たな事態を引き起こしていると批判した。人民日報は「台湾問題は中国の核心利益中の核心」と繰り返し強調し、日本の動きを重大な戦略的転換として位置づけた。
さらに中国国内では、高市氏への批判が官製メディアで過激さを増しており、関連報道として
➡ 中国官製メディア、高市首相に下品な悪口雑言
が注目されている。
防衛政策の急転換を指摘 日本は「軍事大国」化へ向かうのか
人民日報は、高市氏の発言の背後に日本右翼勢力の意図があるとし、日本が平和憲法の制約を突破し「軍事大国」化を進めていると強く非難した。防衛費の大幅増額、武器輸出規制の緩和、攻撃的兵器の開発などを列挙し、日本の安全保障政策が重大な分岐点にあると分析した。
さらに高市政権が「非核三原則」に関して曖昧な姿勢を示している点を取り上げ、核潜水艦導入論が政府高官から出ていることも「危険な兆候」と指摘。敗戦から80年を経た現在、日本政治が根本的な転換期にあると警戒感を示した。
この問題は、総領事による「斬首」発言など、中国側の過激な反応とも連動している。背景分析は
➡ 中国総領事の発言で日中関係が緊張
にも詳しい。
【出典】
・聯合報(UDN)
https://udn.com/news/story/7331/9143899?from=udn_ch2_menu_v2_main_cate
・中国時報(中時)
https://www.chinatimes.com/realtimenews/20251117001095-260409?ctrack=pc_chinese_headl_p01&chdtv

