遼寧省の漬物工場で不衛生行為発覚 当局が製品押収、企業名の公表を求める声拡大

食品用でない鉄製工具で作業 衛生基準違反の疑い

 遼寧省葫蘆島市興城市の酸菜(漬物)製造工場で、男性作業員が漬け込み槽内で喫煙し、唾を吐く映像がSNS上に拡散した。映像には、作業員が食品用でない鉄製工具で酸菜をかき寄せる様子も映り、中国の《食品安全国家标准 食品生产通用卫生规范》(GB14881-2013)で定められた衛生基準に抵触する可能性が指摘されている。食品に接触する器具は食品用素材で洗浄・殺菌管理が義務づけられており、裸手・防護服なしでの作業は明確な違反行為とみなされる。


当局が緊急調査 該当ロットは押収・廃棄へ

 興城市市場監督管理局は10月27日夜、公式WeChatで声明を発表し、「問題の酸菜はすべて押収し市場には流通していない。関連規定に従い廃棄処分とする」と説明した。また、関係企業および責任者を法に基づき厳罰に処す方針を明言。省級市場監管当局も現地調査を開始し、葫蘆島市の食品安全監督部門が連携して対応に当たっている。


企業名非公表に批判集中 「業界全体が疑われる」

 しかし、当局の通報では具体的な企業名が明かされず、「企業名を伏せれば地域全体の酸菜産業が風評被害を受ける」との批判が殺到した。地元企業の関係者は「問題企業は必ず公表すべきだ」と述べ、透明性を求めた。興城市市場監督管理局は「現在も調査中で、結果が出次第、公式ルートで企業名を含め詳細を公表する」と説明している。


中国社会で再燃する食品安全への不信

 この事件は、2022年の湖南省「老壇酸菜」事件を彷彿とさせ、中国社会で食品安全への不信を再び呼び起こした。香港メディアの星島頭條on.cc東網も「衛生観念の欠如」として大きく報道。SNSでは「監管を徹底せよ」「全国規模の抜き打ち検査を」といった声が広がっている。


相次ぐ衛生問題 制度改革の行方

 中国では過去にも、広東省の不衛生な漬物工場暴露事件、青島ビール原料への放尿事件、さらには素足で漬物製造など、食品衛生をめぐる事件が繰り返し発覚してきた。国家市場監督管理総局は、食品安全法の厳格運用と地方政府への責任強化を進めているが、現場レベルの監督力不足や腐敗体質が依然として課題として残る。


[出典]
観察者網(2025年10月28日)
極目新聞(2025年10月28日)
星島頭條(2025年10月28日)
on.cc東網(2025年10月29日)
Sina新聞中心(2025年10月28日)

[関連情報]
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