
江門市、新規46例に減少し「動的ゼロ化」に前進
広東省江門市政府は10月21日、国家と省の作業チームの合同分析の結果、19日と20日の単日新規感染が50例前後にまで低下したと発表した。江門市衛生健康局によると、20日の新規感染は46例。蓬江区16例、江海区8例、新会区11例、開平市5例、鶴山市4例、恩平市2例と報告された。感染は波を描きながらも下降傾向にあり、同市は「動的ゼロ化(感染の即時封じ込め)」の段階目標を達成したとしている。
広東省全体では2086例 仏山・深センで再拡大
広東省疾病予防管理局によると、10月12日から18日までの1週間に省全体で報告された新規感染は2086例で、前週の2257例から減少した。江門市は795例と前週より大幅に減少したが、仏山市は241例(前週196例)、深セン市は202例(同109例)と増加。広州市は189例で減少したが、揭陽市、潮州市、汕頭市など東部都市で感染が拡大している。重症例や死亡例の報告はなかった。
防疫体制を緩めず 広東全域で蚊の駆除を強化
広東省疾控中心の康敏主任は「江門の感染は下降傾向にあるが、省全体は依然として蚊媒活動の活発期にあり、国慶節・中秋節連休による大規模な人の移動も感染拡大の要因」と指摘。「防疫体制を緩めてはならない」と強調した。
第一財経によると、江門や広州などでは、防蚊薬の散布や溜まり水の除去、繁殖源の清掃が集中的に行われている。康氏は「屋外では明るい色の長袖長ズボンを着用し、防蚊剤を使用すること。発熱や関節痛、発疹などの症状が出た場合は早期受診を」と呼びかけた。
媒介蚊の生態と感染防止策
チクングニア熱は、チクングニアウイルスに感染した蚊(主にヒトスジシマカ)によって媒介される急性ウイルス性疾患で、発熱・関節痛・皮疹が主症状。媒介蚊は小規模で清潔な水たまりで繁殖する性質を持つため、家庭や屋外のバケツ・花瓶・古タイヤなどの溜まり水を除去することが基本対策となる。
「清積水・滅成蚊・防叮咬(溜まり水の除去・成蚊の駆除・蚊刺防止)」の三原則が感染予防の鍵であり、広東省政府は全域で駆除活動を展開している。
広東省の感染分布と背景要因
省内では、江門市が依然として最多の感染を抱えるが、人口密度の高い仏山や深センでは都市構造上の課題が残る。広東省政府は、都市間の医療連携を強化し、感染追跡と防疫資源の集約を進める方針。近年の温暖化や降雨量の増加も蚊の繁殖環境を広げ、感染症対策に新たな課題をもたらしている。
政策的対応と今後の展望
広東省は「突発公衆衛生事件Ⅲ級応急対応措置」を継続中で、各都市の衛生部門が連携して疫学調査を進めている。省当局は今後、感染リスク地域を細分化し、モバイル監視システムによる早期警戒体制を整備する見通し。流行のピークを越えたとみられるが、当局は「再拡大防止のため、監視と防蚊活動を長期的に維持する必要がある」と強調している。
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