河南各地で「歩く硫酸」被害拡大 甲虫のハネカクシ 住民が炎症で苦しむ

中国河南省の各地で、「行走的硫酸」とも呼ばれるハネカクシ(隠翅虫)が急増しており、毒液による皮膚炎被害が相次いでいる。河南省洛陽では建設現場の網や足場を覆うほど大量発生し、南陽市では4歳女児が首に潰瘍を負い、20日以上経過しても治らず、深刻な被害となっている。


洛陽の工事現場を覆うハネカクシ

洛陽市孟津区の建設現場で働く労働者は、「高さ4~50メートル、数十メートルにわたる防護ネットと足場のあらゆる場所にハネカクシがびっしりと貼りついている」と証言する。多くの作業員は虫を避けて近づけず、映像には虫の群れに囲まれた中で作業する姿も映っている。 (鳳凰網)

ネット上にも「自分の地域にも出た」「家屋の網戸にも入り込んだ」といった報告が相次いでいる。


4歳女児、首に重大な皮膚損傷

南陽市に住む王さんの娘(4歳)は、9月10日の朝、首の痛みを訴え、見ると首が赤く腫れていた。最初に診療所を受診したが薬が効かず、12日に市立病院を訪れ、「ハネカクシの毒液による皮膚炎」と診断された。 (鳳凰網)

その後、赤腫や水疱、潰瘍が広がり、20日以上経った現在でも完全に治癒していない。首には明確な傷跡が残っている。


被害が拡大、病院も対応に追われる

9月以降、河南省各地でハネカクシを発見したという報道が相次ぎ、皮膚炎の患者数も急増している。たとえば、武漢市でもハネカクシ皮膚炎患者の急増が報じられており、気温上昇による虫の活動期早期化が指摘されている(関連記事:武漢でハネカクシの皮膚炎患者急増 気温上昇で活動期)。

駐馬店市中心病院皮膚科の医師は、「最近は毎日6〜7例、多い日は15例以上を診ている」と話す。被害の多くは、虫を手で叩いたり誤ってつぶしたりすることで、体液が皮膚に広がることから発生している。


ハネカクシ(隠翅虫)とは?

ハネカクシはコウチュウ目(鞘翅目)に属する小型甲虫で、世界で6万6千種以上が知られている。だが人に害を与えるのは、約20種の「毒ハネカクシ亜科」に限られる。中国ではそのうち2〜3種が一般的で、特に梭毒ハネカクシがチベットを除く全国で広く分布している。 (鳳凰網)

毒素(ペデリンなど)は強い酸性で、皮膚に触れると激しい炎症、灼熱感、かゆみなどを引き起こす。線状赤斑や膿疱ができ、治癒後にもかさぶたや色素沈着が残りやすい。まれにアレルギー反応を起こす体質の人では、より激しい症状を呈することもある。


正しい対処法:叩かず落とすことが肝心

専門家は、ハネカクシが体に止まった際、刺激しなければ自ら毒液を放出することは少ないと説明する。被害の大半は、虫を叩いて体液を皮膚に広げてしまったことが原因だという。 (on.cc東網)

適切な応急処置は以下の通り:

  1. すぐに石けん水などのアルカリ性水で十分に洗い流す。
     目の近くなら清水で。
  2. アルコール・歯磨き粉・民間療法は使わない。
     患部をかかないようにし、二次感染を防ぐ。
  3. 症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診。
     医師の判断に基づき、外用薬・抗ヒスタミン薬・抗生物質などを使用する。


出典

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