
第15次五カ年計画、党の全面指導を強調
新華社の報道によると、中国共産党第20期第4回中央委員会全体会議(四中全会)が10月20日から23日まで北京で開かれる。会議の中心議題は「国民経済と社会発展第15次五カ年計画」の提案審議である。
中国の五カ年計画は旧ソ連を模した制度で、産業ごとの具体的な発展目標や戦略重点を定める。しかし、その仕組みは特定分野で生産過剰を生み出す要因にもなってきた。今回の草案では、党の全面指導を「経済社会発展のあらゆる側面・全過程に貫徹」と強調し、従来以上に政治色が濃い。計画の重点は科学技術イノベーション、グリーン転換、安全体制の構築、地域協調、民生改善であり、特に「核心技術の突破」が最優先課題とされている。
一方で、中国経済は深刻な課題に直面している。長引く不動産不況によるデフレ圧力、消費信頼感の低下、そして電気自動車やフードデリバリー産業での過剰生産と価格競争の激化である。こうした背景の中で、党主導の発展モデルは国内外から注目を浴びている。
腐敗調査で揺れる高層人事
四中全会では人事処分も焦点となる。すでに8人の中央委員が腐敗調査に巻き込まれ、そのうち6人が拘束されている。
とりわけ注目されるのは、昨年失脚した元中央軍事委員会政治工作部主任の苗華上将である。政治局会議は「苗華問題の審査結果と処理意見に関する報告」を採択し、党籍剥奪と第20回党大会代表資格の取り消しを決定する見通しで、全会で最終確認されるとされる。
また、元武警司令官の王春寧上将、元軍委後勤保障部長の張林中将も党籍剥奪処分を受ける見込みだ。さらに、元税関総署署長の俞建華は昨年死去し、前工業・情報化部長の金壮龍も免職され、中央委員資格を失うとみられている。
一方で、福建勤務時代から習近平と関係が深い中央軍事委員会副主席の何衛東は、半年以上にわたり公の場から姿を消している。彼の動向が明らかになるかは、全会の最大の焦点のひとつだ。
軍関連の汚職摘発はここ数年加速しており、中国兵装集団幹部の取り調べ や 軍需産業での大規模摘発 が波紋を広げている。さらに 全人代代表解任に将官2人が含まれた事例 や 上将4人が軍階級授与式に欠席した異例の動き も報じられ、四中全会での人事処理と密接に関連するとみられる。
習近平の「朋友圈」と宗教政策
今回の全会は、習近平が韓国でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するおよそ1週間前に行われる。米国のトランプ大統領との会談の可能性も取り沙汰される中、習近平の「朋友圈(側近グループ)」の変化が注視されている。SNS「X」では退位や権力移譲に関する憶測も広がるが、国営メディアは慎重に報じている。
さらに政治局は9月29日午後、「中国の宗教中国化を体系的に推進する」について集団学習を実施。習近平は宗教界が自ら行動し、中国的特色を教義や戒律、制度に反映させることの重要性を強調した。宗教界に対しては自主管理や自律の強化を求めている。
このように四中全会は経済運営方針と高層人事、さらには思想統制政策を重ねて打ち出す場となり、中国の統治構造における党の指導の強化を鮮明にしている。