国防省「就役は遠くない」
中国の三隻目の航空母艦「福建」が就役を目前に控えている。9月25日の国防省定例記者会見で張暁剛報道官は、福建艦で艦載機J-15T、J-35、空警-600の発艦と着艦訓練が成功したと発表した。これにより福建艦は電磁カタパルトによる発進と回収能力を備え、今後多様な艦載機を空母打撃群に組み込む基盤が整った。
張報道官は「試験と訓練は計画どおり順調に進んでおり、皆が待ち望むその日は遠くない」と強調した。これは中国の空母建設史における大きな節目であり、近海防御から遠洋作戦への転換を象徴している。
戦略環境の変化
官製メディアは、福建艦の三機種同時運用により、対空・対艦・対地の統合作戦能力が飛躍的に高まると報じる。特に打撃範囲は第二列島線に及ぶとされ、西太平洋の戦略バランスを再編する可能性がある。台湾海峡や南シナ海における米軍の活動への牽制効果も指摘され、国際社会も注視している。
関連して、【特集:中国の最新空母「福建」が就役間近】では、台湾海峡を通過した場合の三空母体制がもたらす戦略的変化について詳しく分析している。
👉 関連記事はこちら
電磁カタパルトの優位性
福建艦の最大の特徴は、電磁カタパルトの採用にある。従来の蒸気式と比べて発艦効率が高く、加速が均一で機体や搭乗員への負荷が軽い。これにより固定翼早期警戒機の運用も可能となり、空母打撃群の作戦能力を大幅に高める。
米国の最新鋭フォード級空母も同技術を採用しているが、故障率の高さが課題とされる。中国は直流電力方式を導入し、信頼性の高さを誇示している。軍事専門家は「映像公開は技術の成熟を示すもので、残された課題は艦載機の本格配備と人員体制の整備だ」と指摘する。
中国海軍の遠洋進出
福建艦が完全な戦闘力を備えれば、中国海軍は空母「遼寧」「山東」と合わせて三隻体制となり、遠洋進出の実効性を高める。既に「遼寧」は沖縄周辺で120回以上の発着艦訓練を行い、「山東」は香港に寄港して市民公開も実施した。これらの動きは、国内外に対して存在感を示す政治的メッセージともなっている。
👉 空母山東の香港寄港はこちら
👉 空母遼寧の訓練実績はこちら
抑止力としての役割
今後、福建艦を中核とする空母打撃群は、海外資産や重要な国際航路の防護に現実的な抑止力を発揮することになる。単なる防御にとどまらず、遠洋での攻勢的な作戦能力を確保する点において、中国海軍の近代化にとって画期的な一歩といえる。
出典
《中国日报》:“国防部回应福建舰是否即将入列:那一天不会太远” — 中国日报网,2025年9月25日配信
URL: https://cn.chinadaily.com.cn/a/202509/25/WS68d4eeb1a310f0725774a9d6.html?utm_source=chatgpt.com
聯合報/udn 記事:“福建艦何時交接入列中共海軍? 陸國防部全說了” — 聯合報 udn,2025年9月25日
URL: https://udn.com/news/story/7331/9030399?from=udn-catelistnews_ch2
香港01 記事:“福建艦電磁彈射畫面公開 中國走在了美國前一步” — 香港01,2025年9月24日
URL: https://www.hk01.com/%E4%B8%AD%E5%9C%8B%E8%A7%80%E5%AF%9F/60279504/%E7%A6%8F%E5%BB%BA%E8%89%A6%E9%9B%BB%E7%A3%81%E5%BD%88%E5%B0%84%E7%95%AB%E9%9D%A2%E5%85%AC%E9%96%8B-%E4%B8%AD%E5%9C%8B%E8%B5%B0%E5%9C%A8%E4%BA%86%E7%BE%8E%E5%9C%8B%E5%89%8D%E4%B8%80%E6%AD%A5
中時電子報(China Times/中時即時新聞):“福建艦何時交接入列中共海軍?陸國防部:大家期盼的那一天不會太遠” — 中時,2025年9月25日
URL: https://www.chinatimes.com/realtimenews/20250925003891-260409?chdtv