台風18号広東に上陸 216万人避難、3500便欠航 大湾区全域で交通網まひ

広東省に上陸、勢力は中型台風に弱まる

台風18号「樺加沙」は台湾・花蓮を直撃した後、中国南部に接近し、24日午後5時に広東省陽江市の海陵島に上陸した。中心気圧は955ヘクトパスカル、最大風速は秒速40メートルに達し、上陸後は西寄りに進みながら徐々に勢力を弱めた。

広東全域で216万人が避難

台風の影響が天文大潮と重なり、珠江口沿岸では最大280センチの高潮が発生。広東省全21都市が防風緊急対応を発令し、学校や体育館が避難所に転用された。午後5時時点で216万5000人が避難を余儀なくされた。

実は上陸前から広東省では厳戒態勢が敷かれており、珠海市や深セン市ではタワーマンションの住民に退避指示が出されていた(➡ 超大型台風18号、広東上陸へ 全省で104万人避難)。今回の避難規模はそれを大きく上回り、中国南部での台風被害の深刻さを浮き彫りにした。

珠海で海水逆流、高層住宅も退避命令

珠海市では海水が逆流して道路が冠水。市内の279か所に避難所が設けられ、6万人以上が避難した。特に香洲区では高層住宅や老朽住宅に退避命令が出され、地下駐車場16か所も閉鎖された。こうした大規模な高層住宅の事前避難は国内初の事例とされる。

江門で観測史上最大の突風

江門市台山市では最大瞬間風速67メートルを記録し、1979年台風「HOPE」での60.4メートルを超えて観測史上最大となった。珠海近海の廟湾島でも17級(秒速59.1メートル)の突風が観測され、担桿島周辺では巨浪が押し寄せた。

中央政府が救援資金を拠出

中国財政部は24日、中央自然災害救済資金15億元(約300億円)を広東、海南、福建に緊急配分し、避難や救助に充てると発表。交通運輸部も2級防御態勢を維持し、広東沿岸の港湾企業800社以上が操業を停止した。

一方、広西チワン族自治区でも台風の影響で地盤が緩み、土砂災害が発生。玉林市では土石流により3人が死亡する惨事となった(➡ 広西玉林で土石流、3人死亡)。

大湾区の交通網に深刻な混乱

フライト情報サービス「航班管家」によると、24日午前10時時点で大湾区5空港(香港、広州白雲、深セン宝安、珠海金湾、マカオ)で計3489便が欠航。珠海金湾空港は全便、香港国際空港は767便、深セン宝安空港は1061便、広州白雲空港は1249便が運休した。
鉄道も広東省内は24日全線が運休し、25日以降の再開が予定されている。江門市では高速道路や橋が封鎖され、市内バスや長距離バス、フェリー航路も全面停止した。

香港・マカオも被害

香港では全校休校となり、公共交通やフェリーが運休。特区政府は50か所の避難所を開設した。マカオでは1メートルを超える浸水が発生し、数千人が避難した。

台湾でも甚大な被害

樺加沙は広東に上陸する前に台湾・花蓮を直撃し、せき止め湖の決壊によって14人が死亡、124人が行方不明となった(➡ 花蓮水害:台風18号でせき止め湖決壊)。中国本土だけでなく台湾でも甚大な被害が広がっており、台風の広域的な破壊力を示している。

今後の見通し

中央気象台は、25日には広東沿岸の暴風雨は弱まり、豪雨の中心は広西西部に移ると予測している。しかし、依然として都市型水害や土石流のリスクが高く、当局は警戒を強めている。

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