フッ化水素酸
山道の住居跡で事故 女性が中毒死
浙江省杭州市で今月9日、閑林街道の山道沿いにある住居跡で、散策中の52歳女性がフッ化水素酸を誤って触れ、死亡する事故が発生した。現場に残されていた薬品容器は、外壁清掃に従事していた男性が10年前に放置したもので、警察はすでに関係者を拘束した。
容器を踏み抜き中毒 5日後に死亡
杭州市公安局余杭区分局によると、女性は友人2人と住居跡を散策中、白いプラスチック容器を踏み抜き、足が液体に触れて激しい痛みを訴えた。応急処置を受けて病院に搬送されたが、フッ化水素酸中毒と診断され、心不全や呼吸停止を繰り返した。集中治療室で5日間治療を受けたが、14日未明に死亡した。
廃墟の平屋に放置された薬品
現場ではさらに2つの容器が発見され、1つは満杯、もう1つは半量残っていた。製造企業名と許可番号が記された紙箱の残片も見つかった。調査の結果、この場所にはかつて平屋が建っており、湖北省出身の男性が2013~15年に居住。その息子が外壁清掃作業で使用したフッ化水素酸を保管したまま転居時に放置していたことが判明した。
遺族の証言と行政の対応
遺族によると、女性は3つの病院で治療を受け、5日間で医療費は30万元を超えた。夫は「監督責任は当局にあると思うが、悲しみが大きすぎる。金があっても仕方がない」と語った。遺族は補償を求めず、葬儀に集中している。
危険性高い「化骨水」 規制強化へ
フッ化水素酸は無色透明で刺激臭を持ち、金属やガラスを侵すだけでなく、人体の骨までも溶かす恐れがある危険な薬品だ。事故を受けて、中国のネット通販サイトでは同製品の検索ができなくなり、法規順守や防護措置を求める警告が表示されている。
一方で市民からは「なぜ10年前の廃棄物が今も残されていたのか」と行政の監督責任を問う声が強まっている。危険化学品の管理強化は急務であり、中国当局は規制の厳格化に動き出している。
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