福建艦が台湾海峡を通過、南シナ海で訓練

2025年9月12日、中国人民解放軍海軍の冷国偉報道官は、新型空母「福建」が台湾海峡を通過し、南シナ海で科学研究や訓練を実施していると発表した。冷報道官は「建造過程における通常の試験であり、特定の対象を意図したものではない」と説明した。
福建艦の建造は2018年に始まり、2024年5月には初めての航行試験を実施。それ以降、計8回の海試を終えており、今回が9回目とされる。専門家は「就役前の最終段階に入った」とみており、中国が掲げる「三空母時代」がいよいよ目前に迫っている。
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中国独自設計の初の電磁カタパルト搭載艦
福建艦は満載排水量8万トン超、全長316メートル、全幅76メートルを誇り、中国が独自設計・建造した初の電磁カタパルト搭載空母である。全通甲板と3基の電磁射出装置を備え、殲-35戦闘機や固定翼早期警戒機空警-600の運用が可能となる。
従来の「遼寧」「山東」が滑走甲板を採用していたのに対し、福建艦はカタパルト方式に移行したことで、艦載機の離陸重量と作戦能力が大幅に向上した。米誌 The Diplomat は「米国以外で建造された最大かつ最先端の航空母艦」と位置づけ、中国国防当局も「世界最大の常規動力型空母」と強調している。
技術的特徴と課題
軍事評論家によれば、福建艦の甲板設計は従来艦とは異なり、弾薬昇降機や大型機庫を拡張可能にした。ただし、重量増による復元性への影響や荒天時の横揺れといった課題も指摘されている。また、艦島上部のレーダー設備は高度な通信・探知の統合化を示すものとみられる。
日本防衛省も初確認
日本の防衛省統合幕僚監部は11日午後、尖閣諸島の北西約200キロの海域で、福建艦とミサイル駆逐艦「杭州」「済南」を海上自衛隊が確認したと発表した。福建艦の確認はこれが初めてとなる。
中国の軍事専門家張軍社氏は「今回の初遠航は就役を示すものであり、遠洋航行能力や複雑環境での適応力、乗員の連携を総合的に検証する段階に入った」と解説。さらに、閲兵式で殲-35や空警-600など最新艦載機群が披露されたことから「福建艦は就役と同時に即戦力となる」との見方を示している。
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