中国遼寧省瀋陽市の瀋陽師範大学で、8月31日から井戸水を水源とする生活用水の汚染による大規模な集団感染が発生した。学生や教職員ら2087人が嘔吐や下痢など胃腸炎の症状を訴え、食中毒とみられる事態に発展。瀋陽市当局の7日夕の発表では1817人が回復し、270人が軽症ながら治療を続けている。中国メディアの澎湃新聞などが伝えた。

市と省の疾病対策部門は「突発公共衛生事件3級」として対応し、汚染源の消毒や感染経路の追跡を実施。調査の結果、大学東生活区にある井戸水の貯水槽がノロウイルスに汚染されたことが原因と断定された。問題の井戸水設備はすでに封鎖され、校内では給水車やボトル水で生活用水を確保し、公的水道への切替工事が進められている。
大学は、東生活区の給水管末端からもノロウイルス陽性を検出したと公表。汚染区画を閉鎖し、消毒や隔離管理を強化した。院内外の医療チームを配置し、診療費は大学側が負担。24時間体制の心理相談窓口も設置している。
一方、学生の間では「1クラス30人以上のうち健康なのはわずか5、6人」との証言があり、病院の血液検査では白血球と好中球の数値上昇が確認された。医師は「急性細菌感染の可能性が高い」と指摘し、ノロウイルス単独ではなく細菌感染との併発の恐れもあるとの見方を示した。実際に投与された薬も細菌感染を想定したものだった。
大学では以前から「蛇口をひねると黒い沈殿物が出る」「井戸水が石油のように濁る」といった苦情があり、慢性的な水質問題が背景にある可能性が指摘される。今回の事件はノロウイルスと細菌の複合的な水汚染による集団食中毒とみられ、当局は再発防止のため水源の切替と監視体制の強化を急いでいる。
◇出典



ノロウイルス関連ニュース(Alert China)
以下は、Alert China(中国安全情報局)のウェブサイトから、キーワード「ノロウイルス」に関する最新記事を、発表が新しい順に最大5件ピックアップした結果です。
各地でノロウイルス集団感染 当局が手洗い呼びかけ
概要:2024年秋から冬にかけ、中国各地で小学校や幼稚園で相次ぐノロウイルスの集団感染を受け、国家疾病予防管理局が「アルコール消毒は効果がない」とし、20秒以上の流水による手洗いを強く呼びかけ。食前やトイレ後の衛生管理が重要とされている。中国安全情報局+1
中学生74人ノロウイルス感染=10人入院―山東
概要:2023年11月、山東省安丘市の中学校で生徒74人が腹痛・嘔吐などの症状を訴え、全員がノロウイルス感染と診断され、うち10人が入院。感染拡大を防ぐため、学校構内では消毒措置も行われた。中国安全情報局
学生315人が腹痛や吐き気 ノロウイルスに集団感染 広州
概要:2021年12月、広東省広州市の職業技術大学で学生315人が腹痛・吐き気を訴え、24人がノロウイルス感染と診断された。大学側は食堂7カ所の消毒と原因調査を開始した。中国安全情報局
江西の一貫校でノロウイルス集団感染 86人に症状
概要:2021年1月末、江西省の私立一貫校で生徒156人が腹痛や嘔吐などを訴え、86人が胃腸炎と診断された。直後に学校食堂を封鎖し、当局が消毒と検査を実施した。中国安全情報局
中学生30人超がノロウイルス感染 2日間休校 福建
概要:2020年11月、福建省福州市の中学校で30人以上が嘔吐・腹痛でノロウイルス感染と判断され、学校は2日間休校となった。保護者は食堂の衛生状態を疑ったが、学校側は「飲食が原因とは限らない」と説明。中国安全情報局