中国が9月3日、北京で抗日戦争勝利80周年の記念行事「九三閲兵(軍事パレード)」を開催する。日本大使館は8月27日、公式サイトで在留邦人に対し安全上の注意を呼びかけた。声明は「日中関係の歴史に関連する日には反日感情が高まりやすい」と指摘し、「日本語を使わない、日本人と分かる服装を避ける」など注意を呼びかけた。台湾の中央通信社などが伝えた。

大使館は「外出時は周囲に注意し、不審者の接近を警戒すること。特に子ども連れでは十分な安全対策を講じ、可能であれば複数人で外出するように」と強調した。さらに「現地の習俗を尊重し、言動や態度に注意を」と呼びかけ、屋外で日本語を大声で話すことや集団での騒ぎを控えるよう求めた。
報道によれば、北京日本人学校は軍事パレードに伴う天安門周辺の交通規制を考慮し、9月2日から4日まで授業をオンラインに切り替えることを決めた。
背景には近年相次ぐ日本人襲撃事件がある。2024年9月18日、満州事変(九一八事変)93周年の日には、深セン日本人学校に通う10歳の男児が刺され死亡。犯人は今年1月に死刑判決を受け、3カ月後に刑が執行された。2024年6月には蘇州日本人学校近くで日本人母子が襲撃され、随行スタッフの胡友平が刺殺された。今年7月末には蘇州の地下鉄駅で日本人母子が投石され、母親が負傷した。
日本大使館はこうした事件を受け、今回の告知で「子ども連れの場合は特に十分な警戒を」と再度強調した。外務省は昨年、4300万円を拠出して中国内の日本人学校の警備強化を進めたが、不安解消には至っていない。一部企業は駐在員やその家族を一時帰国させている。2025年春の時点で中国9都市11校の日本人学校の在籍者数は3226人と、前年から11%減少。全校で生徒数が減少しており、不安の広がりを反映している。
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