フィリピンのドゥテルテ大統領はこのほど、ベトナムで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で南シナ海の領有権問題を議題として取り上げた上、人工島の建設などを進める中国に対し意図を問いただす考えを明らかにした。大統領は就任から1年余り、同問題を巡り中国との対立を一貫して避けて来たため、真意について憶測を呼んでいる。米公共放送ボイス・オブ・アメリカ中国語版が伝えた。
アベリャ比大統領報道官は今年10月、この問題を巡り「対立はフィリピンの国益に合わない。大統領は接触と交渉を維持しすることで、わが国の利益を確保しようとしてしている」と述べた。
米シンクタンク、ランド研究所アジア太平洋政策センターのスコット・ハロルド副主任は、大統領の発言について「米国に対して存在感を増すことを目指すとともに、中国に対してはやりたい放題を認めない考えを示した」と指摘。「自身の支持者に対し愛国者であることを示すには、フィリピンの主権要求を維持する必要がある」と語った。
別のシンクタンク、ストラトフォーのアナリストは「大統領の中国に対する穏健なやり方は、永遠に続く訳でない。彼は民族主義者でありフィリピンの立場を強くすることを目指している」と述べた。さらに「敢えて強い姿勢を示すことで、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が南シナ海での行動のルールを定める際に、フィリピンが利益を得る狙いがある」との分析を示した。