頼りにない米軍、知らない間に航行自由作戦を中断、再開求める声も

 案の定というべきか、中国が領有権を主張して各国と争う南シナ海で、米海軍が「航行の自由」作戦を中断しています。さすがに、米国の軍事専門家からも、なるべく早く再度の実施を求める声が挙がっています。

 米公共放送ボイス・オブ・アメリカ中国語版によりますと、米海軍は昨年10月、駆逐艦ラッセンを、南シナ海で、中国が造成した人工島から12カイリ以内を航行させました。

 当時、米軍関係者は「航行の自由は常態化させ、3カ月に1度実施する」と述べていた。さすが米国、やる時はやるのだと、心強い思いがした記憶があります。

 米国のシンクタンク「センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト」は9月28日、セミナーを開きいた際、出席した専門家の多くが「米軍が前回に航行の自由作戦を実施してから既に4カ月余りが経過した。これ以上、米軍が行動を遅らせると疑念と不安を招く」と述べたということです。

 米外交政策評議会アジア安全保障研究部主任のジェフ・スミス氏は「国際仲裁裁判所が今年7月、南シナ海の領有権に対する中国の主張が、国際法に合致しないとする判決を出した。判決は、航行の自由作戦にとって本来はプラスの材料なのに、米軍は次の行動をためらっている」と話しています。

 米太平洋軍のハリー・ハリス司令官は先に「南シナ海でいつ航行の自由作戦は軍が主体ではない。ホワイトハウスが主導する国家政策だ」と話しています。

 国防総省の報道官はボイス・オブ・アメリカに対し「いつ次のパトロール航海を行うかは言えない」と述べました。

 一部の報道によると、ホワイトハウスは先ごろ、国防総省と軍に対し、南シナ海で中国を怒らせる行動を採らないよう求めたのことです。

 

(参考)http://www.voachinese.com/a/us-navy-scs-20160928/3529145.html

 米国の真意は不明です。米国の国益を冷徹に計算したのだと思いますが、南シナ海の航行の自由の確保にとり、米軍はあまりあてにならないということは言えるのではないでしょうか。

 米国の国益に関わる南シナ海ですらこの有様ですから、沖縄県尖閣諸島の防衛ではほとんど、米国の助力は期待できないですね。日本は独力で防衛するしかないですが、国民の覚悟はできているのでしょうか。
 
 終戦までの日本は、独力で国を守り、独自の外交を行う力も意志もありました。為政者だけでなく、庶民のレベルにも、その気概があったと思います。結果は大失敗に終わりましたけれど。

 戦後の日本人は、少なくとも国事に関しては、気概も知力も、先人に劣ると筆者は思っています。終戦から71年経って、国をどうするのか、考えなければいけない時代に入ってしまいました。

 戦前の日本人でもあんなに惨めに失敗したのに、今の日本人で大丈夫なかと心配になります。頼りなく見える戦後の日本人の中に、自由と富を肥やしにして、実は強い意志と優れた智慧が育まれていたのだと、思いたいところです。

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