香港の出版社社長で、スウェーデン国籍の桂明海氏(51)がこのほど、居住先のタイ・パタヤのマンションから失跡したことが分かった。中国の工作員4人が連行したとみられる。海外のニュースサイト、博聞社が11日伝えた。
桂氏が経営する「巨流発行公司」と香港・銅鑼湾(香港島、コーズウェイベイ)の書店の従業員3人も、10月24日、広東省深セン市で拘束された。
中国の弁護士によると、桂氏はスウェーデン国籍で、中国当局が連行するには犯罪人の引き渡しに関する手続きが必要。また、桂氏の居住先のタイ当局にも協力を求める義務がある。しかし、タイの現地警察には通知はなく、今回の事件は中国当局による誘拐と断定できるという。
桂氏は、北京大学卒業後、中国の出版社に編集者として勤務し、1988年にスウェーデンに留学。90年に国籍を取得した後、2003年、ドイツに移住した。
桂氏が設立した巨流発行公司は、中国指導部内で起きている権力抗争などを物語風にまとめた本を次々に出版。扇情的な表紙や表題も手伝って、大きな売り上げを得ていた。
2013年10月には、別の香港の出版社、香港晨鐘書局の姚文田編集長が、化学品の密輸容疑で逮捕されれ実刑判決を受けた。14年5月にも、香港の雑誌社社長の王建民氏が深セン市公安局に逮捕された。