VW、新疆工場を売却へ 背景に人権侵害批判か

2024年11月27日VW 米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、独フォルクスワーゲン(VW)と中国における合弁相手の上海汽車集団(上汽集団)は27日、新疆ウイグル自治区の工場を中国国有企業に売却すると発表した。両社は売却を経済的理由のためとしているが、人権侵害への批判の高まりのためとの見方が出ている。(写真はRFAのサイト)

 新疆では約100万人に上る、無実のウイグル人が収監され、労働を強制されているとして、国際社会から強い関心が寄せられているほか、西側諸国の制裁を受けている。

 海外ウイグル人組織の世界ウイグル会議はRFAに対し、フォルクスワーゲンがウイグル人と国際人権団体の圧力で、ウルムチの工場とトルファンのテストコースの売却を迫られたことは、ウイグル人の闘争の勝利だ」と述べた。 

 フォルクスワーゲンは2013年、新疆・ウルムチに支社を設立。おもに低価格のガソリン車を生産してきた。従業員の約200人のうち4分の1はウイグル人だった。

 同社の委託を受けたドイツの調査会社は昨年12月、VWの新疆工場で「強制労働の形跡と証拠は見つからなかった」とする調査結果を公表している。

 フォルクスワーゲンの中国事業は低迷しており、今年1~6月の販売台数は前年同期比7.4%減の134万5000台。7~9月も減少が続いている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、VWが今年7~9月、64%の減益になると報じた。VWによれば、大幅な減益は中国市場における競争激化のためだという。
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