
少林寺管理処は7月27日夜、釈氏が長年にわたり複数の女性と不正な関係を持ち、私生児がいたと公表。中国仏教協会は28日、僧籍証明である戒牒(かいちょう)を抹消したと発表した。釈氏は僧職資格を失い、少林寺から追放された。寺院管理は河南省政府の監督下に移り、SNSから釈永信氏関連の記事も削除されている。
釈氏は7月25日夜、河南省新郷市の警察により連行されたとされる。容疑は、寺院資産や事業資金の横領など。複数の女性との不正関係と私生児の存在なども問題視された。現時点で正式な起訴は公表されていないが、身柄は拘束されているもようだ。
釈氏は16歳で出家し、師の釈行正の死去後に方丈に就任。1998年には「少林寺」商標を登録し、寺院を国際的ブランドに転換させた。海外公演を行う武僧団を創設し、少林武術を「武術外交」として海外に広めるなど、経営手腕を発揮した。MBAを取得した初の中国僧侶としても知られる。
この結果、少林寺は観光収入を柱に巨大な事業基盤を構築した。2019年の観光客数は420万人に達し、平均消費300元(約6200円)で関連収入は12億元を超えた。入場料収入の一部は地元国有企業に渡ったが、多くの収益は釈氏が実質支配する関連企業群に流れた。出版、スポーツ用品、飲食業など多方面に展開し、2008年に設立した事業会社「河南少林無形資産管理」は文化交流や演出事業を手掛け、累計16社に投資、総額は約8000万元に達した。
また、2003年に再開した少林薬局は「活絡膏」や「霊芝茶」などを販売し、2019年の売上は8000万元を突破。2008年開設の電子商取引(EC)サイト「少林歓喜地」はブランド化し、2020年には売上2300万元を記録した。武僧団の海外巡演は年間200回を超え、1公演あたりの収入は10万ドルから50万ドルへと増加した。
釈氏の私生活を巡る告発は今回が初めてではない。2015年には弟子の釈延魯らが、女性僧侶との関係や私生児の存在、寺院資産の私物化など10項目に及ぶ罪を告発した。当時は最高人民検察院や宗教当局に届け出が行われたが、証拠不十分として不起訴となり、釈氏は地位を維持した。
今回の捜査は単なる告発ではなく、政府主導での本格的な捜査に発展した。特に寺院資産の流用、個人資産の蓄積、愛人との間の私生児の存在などが再度注目されている。
釈氏は江沢民元国家主席の一派と深い関係を持ち、江派の河南省共産党委員会常務委員だった李長春氏と近かったとされる。李長春氏は少林寺を国際的名寺にするため資金を提供し、釈氏は法輪功批判などでも江派と歩調を合わせていた。2015年当時、習近平政権の反腐敗運動でも釈氏は処分を免れたが、釈氏も政治的後ろ盾を失ったとみられている。
◇出典
https://www.cna.com.tw/news/acn/202507280185.aspx
https://www.worldjournal.com/wj/story/121474/8902937?from=wj_maintab_cate
https://newtalk.tw/news/view/2025-07-29/984713