王毅外相の歴訪、中国と欧州の対立解消に失敗

 25年7月7日3仏紙ル・モンドは6日、中国の王毅外相が欧州を歴訪したが、欧州との対立解消には程遠く、双方の関係の難題が浮き彫りになったと報じた。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)が伝えた。

 訪問は7月24日に北京で予定される中欧国交樹立50周年を祝う中欧首脳会議(中欧サミット)を前に関係改善を模索する狙いがあったが、双方の溝は埋まらなかった。

 中国は欧州産ブランデーへの反ダンピング関税を発表しつつ、フランスのコニャックを免除対象とする譲歩や、2021年に制裁を科した欧州議会議員への措置解除など一定の「柔軟姿勢」を見せたが、EU側の不信感は根強い。

 EUは、中国による国産医療機器優遇策に対抗し、中国企業を公共調達市場から排除したほか、6月の中欧経済対話を中止。中欧サミットも当初2日間の予定が中国側の意向で1日に短縮され、場所もブリュッセルから北京に変更された。

 訪欧中の王毅外相とEU外相ボレルとのブリュッセル会談では、ウクライナ問題や中ロ関係、中東情勢をめぐり緊張が走った。王毅外相は「中国はロシアの敗北を受け入れられない。米国がロシア対応からアジアに戦略を転換し、中国を叩くからだ」と発言。欧州側はこれを中国の率直な本音の表明と受け止め、中国がロシアを直接支援していないとする立場を取りながらも、その供給網がロシアの戦争継続を支えていると批判を強めた。

 さらに中国政府がレアアース磁石輸出を制限したことも緊張を高めた。EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長はG7で、中国が輸出規制を威圧の手段とし、過剰生産能力を背景に電気自動車や太陽光パネル輸出で市場を混乱させていると非難。こうした構造的対立に対し、双方が合意を見いだせる数少ない分野は気候変動対応だとされるが、信頼関係の欠如は深刻だ。

 EUの外交筋も「EUは前向きで建設的な協力を望むが、今は互いに信頼がない」と認めている。王毅外相の訪欧は、50周年を前にした関係改善の機会を生かせず、むしろ中欧間の溝を再確認する結果となった。

◇出典

https://www.rfi.fr/cn/%E4%B8%93%E6%A0%8F%E6%A3%80%E7%B4%A2/%E6%B3%95%E5%9B%BD%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%8A%A5/20250706-%E7%8E%8B%E6%AF%85%E6%AC%A7%E6%B4%B2%E8%A1%8C%E4%B8%8E%E4%B8%AD%E6%AC%A7%E9%97%B4%E9%9A%BE%E4%BB%A5%E8%B6%85%E8%B6%8A%E7%9A%84%E9%9A%BE%E9%A2%98

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