
「パワー・オブ・シベリア2」はロシアからモンゴル経由で中国に年間500億立方メートルを送る計画だが、価格や権益、ロシア依存への懸念で交渉は停滞していた。
専門家によれば、中東情勢の不安定さが、地政学的に安定した陸上パイプラインの重要性を中国に再認識させた。また、ロシア産石油は中国の輸入量の約5分の1を占め、ウクライナ侵攻で経済的に苦しいロシアは中国への供給を拡大したい思惑もある。
ロシア国営メディアも中東の緊張を背景に計画再開を報じており、プーチン大統領が8月末に予定する訪中で、この案件を習近平国家主席との協議で議題に載せるとの見方がある。
中国側もトランプ政権時代に米国が中ロ分断を図った経緯を踏まえ、ロシアとの関係を強化する狙いがある。ただし、中国は中東や他地域からも液化天然ガスを調達できる上、輸入先が特定の国に偏らないよう一国あたりの依存度を2割以下に抑える方針を採っており、これがロシアとの交渉を難航させる要因となっている。中東リスクを意識しつつ、エネルギー調達先の分散を模索する姿勢も維持している。
◇出典
https://www.cna.com.tw/news/acn/202506260075.aspx