中国各地で強制立ち退きを巡る混乱が再び起きた。河南省封丘県黄陵鎮の村落で14日、地元政府が令状を示さずに貧困対策の作業場を取り壊した。現場には赤い服を着た多数の「志願者」が集まり、立ち退きに抗議する住民と衝突した。映像では、当局が違法に強制撤去を行い住民を殴った様子が映り、憤りが広がっている。台湾メディアのNewtalkなどが伝えた。

また、今月12日には貴州省丹寨県興仁鎮の城江村にある少数民族「苗族」の集落で、政府が300人以上を動員して強制的に家屋を撤去した。複数の住民が押さえつけられて車両で連行され、けが人も出た。
背景には国家事業の一部である水利事業があるとされる。対象となった住民への補償はわずかで、他地域での生活再建には不十分だった。住民は協議書への署名を拒み、泊まり込みなどで抗議したが、当局は取り合わなかった。
現場では制服を着ない人々も加わって家屋の解体にあたり、世代を超えて住み続けてきた住宅はブルドーザーで壊された。住民は「補償協議のない強制撤去は強奪だ」と訴え、民生改善を掲げた事業が少数民族に犠牲を強いていると批判している。