ベンツが広告にダライ・ラマの名言、中国の意向忖度し自主的に謝罪

 メルセデス・ベンツが6日、広告の中で、亡命中のチベット仏教の精神的指導者、ダライ・ラマ14世の名言を使ったことについて、謝罪のコメントを発表した。中国政府の意向を「忖度(そんたく)」した自主的な判断とみられる。AP通信を引用し米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

 メルセデス・ベンツは、中国では閲覧できない写真共有サイト「インスタグラム」で、ダライ・ラマの「異なる角度からじっくり見れば、視界が開ける」との言葉を引用し宣伝を行った。コンテンツは中国のSNS(交流サイト)にも転載された。

 同社はダライ・ラマの名前に触れないまま「情報に誤りがあった」、「中国人の感情を傷つけた」として謝罪した。広報担当者は「謝罪は自主的な措置。中国当局は意思表示していない」と述べた。世界的企業による自己検閲は注目を集めそうだ。

 中国では政治的に敏感な問題で、外国企業が対応を迫られるケースが相次いでいる。米ホテルチェーン、マリオット・インターナショナルが先に中国語公式サイトで、香港、台湾、チベットを中国と同列の「国」として表示し、当局から改善命令を受けた。また、生活雑貨店「無印良品」が、カタログの地図に沖縄県・尖閣諸島を記載しなかったことで当局の調査を受けた。
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