中国長江沖の東シナ海で香港の貨物船と衝突して炎上後、14日に沈没したイランの海運会社所属のパナマ船籍のタンカー「サンチ」について、専門家は15日、軽質原油コンデンセートの流出量は史上最多で、長期に渡り環境汚染の恐れがあると指摘した。AFP通信などを引用し米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。
サンチは乗組員32人が乗っており、これまでに3人の遺体が見つかった。残る29人も絶望的。また、沈没後も海上の油が燃え続けている。中国メディアによると、東シナ海の汚染海域は約130万平方キロに及ぶ。
サンチは、コンデンセート13万6000トンと、燃料1000トンを積んでいた。米アラスカ州の油流出問題の専門家、リチャード・スタイナー氏は「史上最悪のコンデンセート流出事故だ」と述べた。13万6000トンの2割の漏出だけでも、1989年にアラスカ沖で発生した石油タンカーの事故の際の原油流出量に匹敵する規模だという。
RFAの取材に対し米ニューヨークの弁護士は「周辺国の漁民が被害を受ければ訴訟が起きるかもしれない。中国とイランは迅速に反応を示すべき。逃げようとしても無理だ」と話している。